SSブログ

仮面ライダー(13) ~一文字隼人、変身ポーズを直伝す! [一文字ライダー・その2]

仮面ライダー2号・一文字隼人は、はじめて「変身ポーズ」を披露した等身大ヒーローの元祖として、特撮番組の歴史にその名を残すことが出来ると思う。そして、仮面ライダーが特撮史の中で極めて重要な位置を占める理由のひとつが、実は、この「変身ポーズ」にあると言える。

佐々木剛氏が、仮面ライダー撮影当時バイクに乗れなかったために考案されたあのポーズが、多くの子供達を熱狂させ、みんながそれを真似て、瞬く間に『ヘンシン』はその時代を代表する流行語になった。仮面ライダーは、この『変身』を抜きにしては、もはや語れない存在になっているのである。

ライダーの衣装は、撮影の関係でマイナーチェンジを試していたので、いずれはもっと明るい色へと変わっていっただろうと語られているが、「変身ポーズ」は本郷ライダーに何か変化が起こらない限り、出現することはなかったのではないだろうか。

この歴史的な第14話で、『お見せしよう!』と言って披露した変身ポーズのパフォーマンス。その鮮烈なイメージの『変身ポーズ』について、一文字隼人/佐々木剛氏に語ってもらおう。


★★★★★★★★★★★★
聞き手;
「変身ポーズをよりきれいに見せるために、何か工夫はしていましたか?」

佐々木氏;
「工夫っていうか、考えて何かしようとしたのではなくて、両手を大きく右側に振るから、こう自然に、右足を引くとバランスがいい感じなの。だから、当たり前にこうなった。

不自然じゃない形っていうのは、頭で考えるよりも自分の身体の軸のバランスできまるでしょ?だから、殺陣師が演って見せたものも、自然と右足を引いてたね。ちなみにあのポーズは、大野剣友会の高橋一俊さんと岡田勝君が創ったんだよ」

聞き手;
「ちょっと、変身ポーズの奥義を教えて頂きたいんですけど。どういう風に、力の加減をしていくのですか?」

佐々木氏;
「おれのこだわりとしては、無駄に力まないことが大事。殺陣師のみんなは、何で肩に力を入れて、ガチガチでいくのかなって思うんだよね。ライダーに入ってた文ちゃんが代表的だけど。こう、身体に力入っちゃうでしょう。俺のは自然体なんです。

背骨をまっすぐに感じながら、すっと地面に立つ。静から動への起点でしょ。肩に力入れないで肩肘張らないで、あくまですっとそのまま行くんです。「変身するぞー」じゃなくて、こう全く自然にね」

聞き手;
「段階を追って、説明してください」

佐々木氏;
「まず、自然体で直立。両足は肩幅程度に開き、肩に力を入れずに、両手を静かに素早く右に振る。この時に右足を斜め後方に軽く引き、へそを正面に向け静止する。重心は左足に感じる。

静から動への「気」の流れを意識しながら、両手を上方へ振り上げ、『へんしん!』と腹から声を出して、力をこめて両こぶしを握りしめ、最後に一気に力をためる。重心はこの時、完全に右ひざにくる。
この動作の間、両手が右から左へ回転していくのに合わせて、最初左足にあった重心は右足に移行するわけだ。

要するに、静から動への振り子運動だよな。体は重心の移動の間もバランスを取ろうとするからね」

聞き手;
「ありがとうございます。子供の時に真似をしていた変身ポーズの奥の深さを、今改めて感じました」

佐々木氏;
「変身ひとつにしてもそんなね、お遊びでやちゃいけないと思いますよ。俺の中では、あのポーズはすごく大事なものなんです。それで、もう紹介もさせなかったんですから。それっきりやりもしなかったし、日光江戸村で客席から下手なこと言われて、それっきり舞台から降りて居なくなったことあるからね。

でも子連れの親から言われた時なんかはね、子供がどうしてもっていう時は、全然平気でやってましたよ。本当に思いがあって見たいんだっていう人の前だったら、全然平気ですよ」

聞き手;
「他のライダーの変身ポーズについては、どんな印象を持たれてますか?」

佐々木氏;
「宮内洋君のは、最初から全身に力が入ってるんだよナ。闘志むき出しって感じ。テンション高くていい雰囲気だけど。藤岡君も気合が入っていていいけど、固いよナ。彼は最初にフンッて気合を入れてから、始めるんですよね。俺のが一番自然でしょ、シンプルで分かり易い」

聞き手;
「ライダー復刻ブームの中で、ファンからの「変身ポーズ」のリクエストも多いと思いますが?」

佐々木氏;
「昔ならとんでもないという気持ちがあったけど、今は逆に、本当に見たいって言われれば、やりますよ」

聞き手;
「それはどのような気持ちの変化なんでしょうか?」

佐々木氏;
「だってやっぱり、思いがあるんだろうし、本物が見たいという希望に対し、今なら無理なく見せてあげられるんだから、だったら見せてあげようという感じ」

聞き手;
「それはもっと深い所で言えば、佐々木さんの中に一度、一文字を捨てた時代があったとして、今はもう、素直に自分の中に一文字の魂が生き返っているからこそ、それに応えられるってことですか?」

佐々木氏;
「『変身』する時は、佐々木剛は一文字隼人なんですから。やっぱり、求めてくれる者があるのなら、こちらとしては、与えてあげられるモノがあれば与えたいと思う」

聞き手;
「今は分かり合えるファンには、恩返しをしたいと?」

佐々木氏;
「やっぱり喜んでくれるんだったら、なんぼでもって気持ちはありますよ。だから、そういう意味での意識は、昔と変わった部分があるね、大人になったっていうのと、歳もとったけどさ。いま、この時代に、この状況で仮面ライダーを支持してくれるファンは、俺の宝物ですから。出来ることはしてあげたい、と思うよ」 (おわり)



スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました