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宮内洋、ヒーロー一本道(4)  『快傑ズバット』その1 ~今でもずっと日本一 [宮内洋・1]

東映の作品の多くはいつも着ぐるみを使った作品で、ヒーローは怪人かロボットを相手にする物が多い。『人間の悪い奴、悪の組織を相手にやっつけるなんていうのは、できないんでしょうかね?・・・』 この発想から生まれた番組が『ザ・カゲスター』だそうだ。

だが、どんなに悪い奴であろうともただの人間なら、超人からすればすごく手加減したとしても弱い者イジメになってしまう、という欠点が露呈した。そこで悪の人間の組織はそのままにして、ヒーローは強化服をきたふつうの人間に格下げしたのが『快傑ズバット』だった。

さらに釣り合いを取るため、敵方もただの人間ではなく超人的エキスパートということにした。こうすることで、ヒーローは敵をやっつける時も手加減せずに戦えるし、敵も簡単にはやっつけられないという関係に落ち着いた。

ある年代以上の人なら知っていると思うが、『快傑ズバット』発想の源は、往年の日活映画小林旭の『渡り鳥シリーズ』である。平山亨氏がいう。『若い頃にあのハイボルテージの快感にシビれたことがある私は、小林旭のあの人を食った演技に宮内洋がダブって見えた』と。

照れもせずキザを堂々とやってのける名優がいなくては、この企画は出来ない。名優と言われる人は数多くいるが、あれが出来る若手は、高橋秀樹か宮内洋しかいない。そう思った平山氏は、桃太郎侍の高橋では無く、宮内にこの企画書を見せて言った。

『これは君がやってくれることを前提にして作った企画だ(中略)やるかやらないかは君次第だ』と。こうして一晩考えて、大乗り気で引き受けることにしたのが、『快傑ズバット』であった。

では、宮内洋氏の話をどうぞ。


★★★★★★★★★★★★
「宮内、今度『快傑ズバット』という作品を作るんだが、何人か考えたけどお前しかいない、ということでお前に演ってもらうからちょっと付き合えや」とプロデューサーに言われて、二人っきりで新宿に飲みに行った。「これはまだ発表していないのだから、誰にも言わないように」とのことだった。

内容は詳しくは教えてもらえず、ただ『変身ものだ』とその程度だったように記憶している。2~3軒ハシゴして、『良いものを作るから、俺を信じろ』と。数日後、台本が届いた。今まで5人の『ゴレンジャー』をやっていたのに、また一人に戻る。怪傑ズバットの早川健として。

V3の風見志郎とゴレンジャーの新命明は、変えて演じた。さて、今度の怪傑ズバットの早川健をどう表現するか?役者宮内洋が演じるのだから、どこか似てしまうのは当たり前。だがまったく似通っているんじゃない、どこか違ったものを演じられるのも宮内洋じゃないか、と自分に言い聞かせた。

この『快傑ズバット』は、前2作に比べると芝居の部分が多い。ドラマだ。『ようし、宮内イコール早川健になってやろう』とようやく答えが出た。後になって、宮内洋はキザだと言われるようになったのは、そのためだろうか?決して自分ではキザだとは思ってなくて、二枚目半、いや三枚目だと思っている。

友人仲間もキザだとは言ってなくて、ただ歳の割にはカッコよさがあると、その程度である。日活当時の小林旭さんの『渡り鳥シリーズ』が好きで、中学生の頃よく観に行き、またマネもした。彼に成りきって、自分の写真にサインを入れたくらいだ。この頃から何かがあった。変だよねー。

それで『快傑ズバット』ではその『渡り鳥シリーズ』を意識して、馬を使うことをお願いした。物語はあくまでも現代社会なので、オープニングはセスナ機を使い、エンディングなら馬で良いということになった。それで『快傑ズバット』はセスナ機と馬でスタートということになったわけである。

オープニングの撮影の様子はこんな感じだ。『渡り鳥シリーズ』と同じように、テンガロンハットとギターのスタイル。まずはカメラテストということで、テンガロンハットをいかに有効に使いこなすかということと、最初は顔ではなく目を隠し、次にその目をいかに見せるか、その見せるタイミングをどうするかを考えた。

そして『ヨーイ、スタート』の声でセスナから降りて来て目を見せて、そしてレンズに向かって投げキッス。すると、カメラマンが後ろにひっくり返った(キッスを自分がされたように思えたとの後日談)。よし、成功!!本番の声を聞いて、テストと同じように投げキッス。スタッフ全員がドヒャ!!かくしてオープニングは、撮影終了である。
(つづく)



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