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レインボーマン(7) ~何時間も吊るされたことが記憶に残ってます(ダイバ・ダッタ役/井上昭文氏) [レインボーマンこぼれ話1]

レインボーマンの師匠といえば、ダイバ・ダッタである。ダイバ・ダッタ役の井上昭文氏を今回は取り上げる。まず初めに、筆者は知らなかったのだが、井上昭文氏は2013年1月に他界されている。満85歳だった。

ダイバ・ダッタとコンドールマンのタバ老人以外で井上氏の作品の記憶といえば、たいへん申し訳ないことだが、『西部警察パート2』の刑事ゲンさん位しか思い浮かばない。逆に言うと、子供時代に観たダイバ・ダッタやタバ老人の印象が強すぎるのである。それだけハマリ役であったということだと思う。

改めまして、心よりご冥福をお祈りいたします。

ところで、ダイバ・ダッタという人物が、実は大悪人であると言ったら驚く人が多いと思う。筆者もこの話を知った時、とても驚いた。簡単に言えば、『お釈迦様の弟子であったが、後に背いてお釈迦様を殺そうとしたため、地獄に落ちたとされる人物』なのである。

このような人物を、正義の使者レインボーマンの師匠にするという川内康範先生の意図は、どこにあるのだろうか?意味も無く設定するとは思えない。この件について意見を述べている個所があるが、筆者にはよく理解できないというのが本当の所である。

この件にあまり深入りすると、『レインボーマン』という作品自体が面白くなくなるので、『ああ、そうなのか』くらいにしておくのがいいと思う。(なら、言わないほうがよかったかな!)

では、井上昭文氏のインタビューをどうぞ。


★★★★★★★★★★★★
聞き手;
「『レインボーマン』の仕事が決まった時、どんな気持ちでしたか?」

井上氏;
「当時の正直な気持ちとしては、『ああ、子供番組か・・・』と、思っていた。自分が俳優座でやってきたシニカルな文芸作品ではないなとね。おまけに番組を作っていた国際放映のスタジオも、言っちゃあなんだけど、かなりボロい所だった。雨が降るとその音がスタジオ中に鳴り響くんですよ。

『こんな所で仕事するのか?!』と思っていた。でも、だからといって手を抜いたということは無い。どんな仕事でもベストを尽くせと教わって来ましたからね。ただ正直な気持ちとしては、そうだったんです」

聞き手;
「川内先生とはお会いになったんですか?」

井上氏;
「番組が始まる前にお会いして、少しお話をしていると思います」

聞き手;
「あのメイクとコスチュームは、かなり凝っていましたが」

井上氏;
「今見ると、結構立派な衣装ですよ。伝記映画に出てきた時のガンジーの衣装に似ていると思いました。国際放映のメイキャップのおじさんが、けっこう凝り性だった。その方といろいろ相談しながら、創っていった憶えがあります。当時、今の僕ぐらいのおじいちゃんだったけど、非常に熱心な方でした。あのメイクには、1時間半ぐらいかかる。だから朝早くから撮影がある時は4時起き、5時起きでした」

聞き手;
「第一話、二話のロケは、どこで撮影されたのですか?」

井上氏;
「あの岩山は厚木(神奈川県)の辺りだったかな。今はもう無いでしょう。建築現場の禿げ山みたいな所だったからね。今はもう、住宅地か何かになっているんじゃないかな。その時のことで思い出すのは、現場から東京の方を見ると、空がスモッグで灰色になっているんですよ。あんなところで生活しているんだなぁとね」

聞き手;
「『レインボーマン』の撮影で、思い出されることは?」

井上氏;
「真っ先に思い出すのは、ピアノ線で空中に吊るされたことだね。空中に浮かぶシーンがあったんですが、そのシーンで3時間も4時間もなんですよ。一番困ったのは、トイレ。あの衣装で一番困ったのは、排せつですよ。こればかりはあの衣装を着た人じゃないと、分からないと思う。

ある時どうしてもトイレに行きたくなって、そのことを下にいるスタッフに言ったんだけど、我慢しろという。ある程度なら出来るけど、何時間も吊るされたまんまだったからね、もう限界だといったんだけど、ダメだと。じゃあ、ここからしていいか?と言ったら、それも困るというんだ。

『どうすればいいんだ?』と聞いたら、何とかしろというからね、とうとうこっちも頭にきて、ケンカになった。結局下に降ろしてもらった。演技のことなら多少の無理も聞くけど、生理現象ばかりはどうしようも無いからね。確かに人間を吊るして上げたり降ろしたりするのは、大変なんですよ。

当時は今みたいに機械を使っていたわけじゃ無くて、人の力でやっていたわけだから。手間がかかる。でも、こっちだって生きてる人間なんだ、小道具じゃない。最近、この『レインボーマン』で取材を受けることが多くて、驚いているんですよ。

この前も、『レインボークロス』というサークルの取材を受けたんだけど、その中の一人がチベットへ行ってダライ・ラマに会ってきたそうなんだ。そうしたら、格好がダイバ・ダッタとそっくりだったという話を聞いてね、驚きましたよ。あのコスチュームにしても、当てずっぽうにやったものですからね」

聞き手;
「やはり作品に人を突き動かす何かがあったんですよ」

井上氏;
「僕は最初の方にちょっと出たぐらいだから、あの作品に込められた部分というのを、あまり気に留められなかったからね。でもこうしてたくさんの人が憶えていてくれるということは、驚きでありうれしいですよ。

僕らの仕事というのは、小説家などと違ってなかなか形として残っていかないものでしょう。消耗されていくというのかな。だから、どれだけ観た人の記憶に残る仕事が出来るのか、ということだと思いますね」

(おわり)



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