SSブログ

仮面ライダー(10) ~一文字隼人と滝和也、メモリアルヒーローズ対談その7 [一文字ライダー・その1]

(前回のつづき)
聞き手;
「千葉さんは、佐々木さんの火事のこと知ってたんですか?」

千葉氏;
「全く知らなかったです。ついこの間、知ったんです」

佐々木氏;
「(聞き手を指して)君たちの様な年代の人から『あの頃どうだったんですか?』ってライダーの取材を受けるようになって、俺はずいぶんうそつきになってきたような気がするの。『仮面ライダー』やってた頃って、一生懸命だったけど、俺だって治郎チャンと同じで、それほど深く考えてなかった。

今になって、こうして取材を受けるようになって、『仮面ライダー』がとてつもなく大きな存在なんだなって分かる。何故かというと、俺の俳優人生の中で仮面ライダー2号を演じているのはたった1割くらいの部分なのに、いつもライダー、ライダーって言われるじゃない。

そうじゃなきゃ、『昔見たことありますよね』くらいで終わっちゃうはずだもん。ライダーをやっていたからこそ、こうやって自伝まで出してもらえるじゃない。だからこそ、あんまりエラそうなこと言っちゃいけないって気がする」

聞き手;
「なるほど」

千葉氏;
「ボクも最近、『仮面ライダー』を見てた人達から『本当に辞めちゃったんですか?』って聞かれて、『サインしてくれ』なんて言われる。けど、もうサインなんかすっかり忘れちゃってて出来ない。そうして自分ではすっかり忘れていたはずの滝和也という存在がどんどん大きくなって、また意識するようになってきたんですよね」

聞き手;
「『仮面ライダー時代』の千葉さんの写真って、まだありますか?」

千葉氏;
「全部捨てました。子供に見られたくなかったんです。子供にこういう商売させたくなかったし、なんかイヤだったんですよ。台本とかも押入れの中に半分くらいあったけど、全部捨てた」

聞き手;
「千葉真一さんの弟という意味でのプレッシャーは、ありましたか?」

千葉氏;
「正直言って、ありますよ。すべての面で付いて回ったし、だからこそ最初からポンポン役が取れたのは、間違い無いですしね」

佐々木氏;
「だから一時、矢吹二朗に芸名変えたんですよ」

千葉氏;
「今思えば、変えなきゃよかった(笑)」

佐々木氏;
「変えたって同じだって、言ったのに」

聞き手;
「ライダーの現場でも、千葉真一の弟だってことで期待されて、それに応えなくちゃってことはありましたか?

佐々木氏;
「俺も含めて、どうしても比較しちゃうじゃない。あの千葉真一の弟だってことに、興味持っちゃう。だけどそれほど、比較してみようって気でもないんだよ。でも本人が、周りの目を意識してしまうってことは、あっただろうな」

千葉氏;
「そりゃ、ありますね。だから僕は父親になって、子供だけは絶対比較するのは止めようって思った。だから、それぞれの良い所を引き出そうって努力してきました。一人一人、個性もちがいますからね」

聞き手;
「ここでちょっと『おふたりが語る共演者への思い』ということで、おやっさんを演じられたライダーの父、小林昭二さんの印象からお聞きしたいんですが」

千葉氏;
「小林さんが『仮面ライダー』の中できちんとアクションに絡めるのは、足腰がしっかりしていたからだよね」

聞き手;
「おやっさんは40代には見えない様に、わざと老け演技してますよね」

佐々木氏;
「役の為に、少し声のキーを下げてるんですよ」

千葉氏;
「今の感覚で見るおやっさんって、50歳超えてるって感じだよね」

佐々木氏;
「お仕事でご一緒させてもらったのは『仮面ライダー』が最初なんだけど、俳優小劇場養成所に入るときの試験官だったの。だから先生なんですよ。大先輩でもあり、舞台を見に行ってすごく感動させてもらった部分もある。たしか『鯉』だったかな、これが素晴らしい舞台だったの。だから役者として、心から尊敬しています」

千葉氏;
「ホントに良い人でしたね。僕も、現場で随分勉強になりました。芝居のこととか、しゃべり方とかね」

聞き手;
「発声などを、小林さんが千葉さんに直接アドバイスしてくれたりとかは、あったんですか?」

千葉氏;
「直々にそういうことは無かったですけど、たくさん演技を盗むことはできましたね」

佐々木氏;
「基本的にああだこうだという指導型の人ではなかったけれど、ふとした時に教えてくれたりする。そういうやさしさがある人だった」

千葉氏;
「本当に素晴らしい方で、もうそれしか言葉がありません」

佐々木氏;
「それに、先輩なんだからっていう態度を、一度も感じたことが無い」

千葉氏;
「本当に『おやっさん』っていう、親しみやすいイメージの方でした」

佐々木氏;
「周りと緊張させない、すごく穏やかな人だったよね」

聞き手;
「撮影中に、小林さんに助けてもらったことは?」

佐々木氏;
「いるだけで、現場の雰囲気を和ましてくれた。あれだけ若い連中ばかり集まった現場の中で、先輩格の役者さんが威張る人だったら、現場が委縮しちゃうでしょ。そういう意味で、若い俺たちにやさしく接してくれた『おやっさん』がいたからこそ、みんな伸び伸びと芝居ができたんだよね。包容力があって、素晴らしい先輩だった」

聞き手;
「生田スタジオの頃って、役者さんはほとんどが若い人ばっかりですもんね」

千葉氏;
「役者もスタッフも、スタントもメーキャップも、大体同い年くらいだし。ある意味で、仲間意識がある。アクションもありますので、危ないことだってする。そういう中で、小林さんの優しさだけが、みんなの心の拠り所でしたね」   (おわり)


★★★★★★★★★★★★
佐々木剛氏は、34歳の時に自宅を全焼する火事を出し、一命は取り留めたものの、役者の命ともいえる顔に火傷痕を残してしまった。回復後9年間は仕事が激減し、生活は苦難を極めた。しかし44歳の時に昔の俳優仲間の支援で舞台に復帰、俳優業への復帰を果たす。

そのことをきっかけに、人生が徐々に回復をしてきている。そして『仮面ライダー』も、人生の応援をしてくれている!がんばれ、一文字隼人、佐々木剛!

2012年、ファンのための居酒屋「バッタもん」を東京都板橋区大山に開業。自ら接客をして、ファンサービスをしている。



スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました