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キカイダーや新マンを造形で支えた男!(2) ~開米プロ・開米栄三氏 [キカイダー対談・2]

(前回からつづき)
聞き手;
「人造人間キカイダーという作品自体の印象については、いかがですか?」

開米氏;
「等身大のヒーローと怪人で、アクションも激しくて屋外撮影というのは、初めてだったからね。ウルトラマンとかはスタジオ撮影だし、飛び跳ねてキックだの、そういうのは無かったからね。スーツの傷み方とかが違うんだよ。そういう部分で、苦心したところがあったね」

聞き手;
「もともとは、どういうお仕事をされていたんでしょうか?」

開米氏;
「お化け屋敷とか博覧会とかの、展示物やぬいぐるみを造ったりしてたんだよ。『じゃあ、小道具や怪獣なんかもできるんじゃない?』と声をかけられたわけなんだけど、なかなか、そううまくはいかなかったね。我々が始めた昭和20年代だと、まだまだ材料もそんなに無かったし」

聞き手;
「現在のように、何用の材料だとか新素材開発なんて無い時代ですよね」

開米氏;
「何にも無い。だから自分たちで使えそうなものを探して、工夫して使ってたもんな。さっき(前回の話)のレザーみたいに」

聞き手;
「話は戻りますが、ウルトラシリーズをはじめとする円谷作品、『マグマ大使(66年)』を皮切りにピープロ作品をメインでやられてきて、急に東映作品を手がけられていますが、こちらはどういった経緯で?」

開米氏;
「知り合いが東映にいて、うちの弟も東映にいたもんでね。私らがこういうものを造っていたのはみんな知ってたし、それで『東映でもやりたいから、協力してくれないか』って声をかけられたんだよ。で、石ノ森さんと会ってお話をして」

聞き手;
「石ノ森先生も、自ら造形の打ち合わせに参加されてたんですか?」

開米氏;
「うん。でもあの人も忙しい人だったからね、打ち合わせとなると私らが桜台まで出向いて、喫茶店でよく打ち合わせしたんだよ。向こうへ行くには結構時間がかかるので、大変だったけどね。そこら辺は汲み取ってくれて、『何回も来るのは大変でしょう』って、1回行くと4体くらいデザインを挙げてくれたから」

聞き手;
「石ノ森先生には、どのような印象をもたれましたか?」

開米氏;
「とにかく、よく絵を描く人だったね~~。話している間にも描いてて、それがまたサッサッサーッと速いんだ。こっちがデザイン画を見て、『ここら辺、造りにくいですよ』とか言うと、『じゃあ、変えましょう』って、その場でサッと直してくれるし。

逆に造ってみて物足りない部分があれば、また同様に『こうしましょうか』って、案を提示してくれるしね。またその場でも、『こういうのはどうでしょう?』と、新しいデザインを描いてみせてくれる。とにかく凄く発想力のある人だった」

聞き手;
「泉のごとくアイデアが湧き出てくる人だった?」

開米氏;
「そう。先生も『人造人間キカイダー』は気に入ってたみたいだったけど、まさか今(当時)になってまた火がつくとは思わなかったろうね」

聞き手;
「最後に、開米さんが手掛けられたスーツ・メカニックに胸ときめかせて、いまだに魅了され続けているファンの方々にメッセージをお願いします」

開米氏;
「私等の番組をみてくれた人達も、みんな大人になっていることでしょう。そういうおとうさん達が子供や孫に、『自分たちは、こういうのを観てたんだ』と話ながら、昔の『ウルトラマン』や『キカイダー』もいっしょに観てもらえたらありがたいな、と思いますね」   (おわり)


★★★★★★★★★★★★
円谷作品については、新マンから開米プロが怪獣造形を担当しているということであるが、ある筋の話では、グドン、ツインテール、ステゴンのみ高山良作氏の造型であるという。それではゼットンはどうかというと、比較してわかるように、両者は似ても似つかない。

初代は高山氏、二代目は開米プロ製作である。それではどうして初代と二代目では造形に差があるのかということだが、まず製作当時はあまり旧造型物に近づけようという考えは無かったということ。

次に開米プロの「芸風」としてあまりシャープに造型しない傾向にあるということ。これは正しくは芸風では無く、壊れにくい着ぐるみの製作技術が、結果として作り方に変化をもたらしてしまったということのようだ。丈夫な代わりに大味な仕上がりの着ぐるみになってしまったという訳である。

現在では開米プロに限らず、オリジナルに近く綺麗な作品としての着ぐるみ製作が定着しているとのこと。時間をかけて綺麗な着ぐるみをつくるそうである。技術の進歩もあるのだろう、出来が良い上に持ちも良くなっているそうだ。ファンとしては、うれしい限りである。


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