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ウルトラセブン(4) [ウルトラセブン・ドラマ1]

「読む特撮」の第一回目は、ウルトラセブンの第23話『明日を捜せ』を取り上げます。セブンの49話のエピソード中で、筆者はこの回が一番好きである。

面倒見がよく責任感の強い隊長、キリヤマの人柄がよく出ている佳作だと思う。ちなみにベスト3を挙げると、2位は前作で隊長役だったあの方が宇宙人に拉致される『あなたはだぁれ?』、3位がフクシン君と宇宙人の交流?を描いた『円盤がきた』である。

この回の主人公はキリヤマ隊長である。人間の持つ予知能力とか透視能力といったものが、科学万能の世の中にあってどういう位置づけにあるのかを問いかけているドラマだ。科学的裏付けによって行動するU警備隊にとって、何の根拠もない(と思われる)意見が、予言とか予知だ。

だが予知する方にすればこれから起こる出来事を先取りして発言しているだけで、根拠が無いのではなく証明できないだけである。未来の出来事を、いま証明できるわけがないのである。

監督は野長瀬三摩地、脚本は南川龍と上原正三である。野長瀬監督は占いに造詣が深かったとのことで、南川龍は野長瀬監督のペンネームである。ふたりがタッグを組んで出来上がった佳作が、『明日を捜せ』だ。


★★★★★★★★★★★★
占い師の安井は、黒いダンプカーに毎日追われ続けていた。ある日パトロール中のキリヤマの目前で、安井がダンプカーに狙われた。安井を防衛軍基地にかくまったキリヤマは、予知能力で宇宙人の襲来を告げる安井に何かを感じるが、フルハシ他の隊員らは馬鹿にして相手にしない。

マルサン倉庫が爆発してキリヤマがその時に怪我を負うという安井の予言に、キリヤマは何か不安を覚えて警備を強化するが、何も見つからず何も起こらない。このことで、かくまってくれと懇願する安井は、基地を追い出されてしまう。

キリヤマの個人的感情では、このまま安井をかくまってあげたい所だろう。だがマナベ参謀からも苦言を呈されて、どうにもならなくなった。部下に任せずに、自分の足で《明日=真実を捜す》しかないと思ったのだ。キリヤマは休暇を願い出て、安井を探しに行く。

その頃安井は、夜の街を逃げ回っていた。アパートの暗がりで、女性が泣いている。声をかけると、醜い宇宙人の顔をしていた。ガソリンスタンドへ逃げ込む安井。『助けてくれ!』ふりむくと、店員は宇宙人だった。
タクシーを探して乗り込む安井。

「どうしました?お客さん』

『宇宙人に追われてるんだ!』

『そりゃあ、たいへんだ』

『・・・』バックミラーに映る運転手の顔を見て、気を失う安井。

タクシーが黒いダンプカーに変わって、夜の街に消えていく。この場面のやりとりが、何度見てもいい、お気に入りの場面だ。

ダンはマルサン倉庫周辺でキリヤマを見つける。だが安井の予言は的中し、マルサン倉庫は爆破されてしまう。基地に帰って手当てを受けるキリヤマに、『隊長のことを笑っていた』とフルハシらは謝罪する。キリヤマは言う。責任者として自分の判断が甘かったと。

この時に言うセリフ、《窮鳥(きゅうちょう)を懐(ふところ)に入れば猟師も殺さず》ということわざを、この時に覚えた。逃げ場を失った人が助けを求めてくれば、どんな場合でも見殺しにはできないという意味だ。

フルハシを基地に残し、とらわれた安井を探しに富士見が原へ出かけるキリヤマたち。ダンとアマギは敵基地内に侵入するが、円盤の上昇とともに基地は崩れて、ふたりとも埋もれてしまう。ダンは力を振り絞ってセブンに変身、シャドー星人に戦いを挑む。

ここで突っ込み所がひとつ。シャドー星人の円盤がセブンの一撃を受けて煙を吐きながら不時着する。降伏すると見せかけ、爆発して怪獣ガブラが出現。ガブラを倒して、『今度は降伏する。安井を返す』と言っている先程爆発したはずの円盤! なんでやねん?

シャドー星人は鼻にあたる部分が凹んだ顔をした宇宙人で、全身赤色のコスチュームで肩から胸付近と両腕の手首付近は黒色というお洒落な色使いだ。成田亨氏の感性がひかる!ロボット怪獣ガブラはこのドラマでは、おまけにすぎない。安井を拷問して痛めつけるシャドー星人のシーンがなかなかいい。そしてこのことが、最後のシーンの伏線になっている。

安井を奪還したセブンだが、ガブラに左肩を噛まれて毒が身体を回り始めて静かに消えていく。ダンとアマギがキリヤマたちによって救出され、事件は一件落着。

基地に戻った安井にフルハシは占ってもらおうとするが、安井は出来ないと言う。何度やっても、水晶玉には何も映らない。『これでもう、逃げないで済むんだ!わー』 星人から拷問を受けた影響で、予知能力が消えて大喜びする安井であった。


★★★★★★★★★★★★
霊感とか第六感といわれるものは子供の頃は備わっているものの、大人になるに従い無くなってしまう力だとも言われている。霊能者という存在は、その能力が大人になっても残ったままの人のことだと思う。幽霊にしても未来にしても、見えないものが見えるということは恐ろしいことだと筆者は思う。人は、事前に知らないほうが良い事もある。知らないからこそ毎日を必死に生きて、一日が無事に終わったことを感謝して寝床に入れるのである。


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