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仮面ライダー(9) ~一文字隼人と滝和也、メモリアルヒーローズ対談その6 [一文字ライダー・その1]

(前回のつづき)
佐々木氏;
「治郎チャンも、カメストーンでのマンションでの屋上のシーンで、肩車でブン投げられて、そのままマンションの手すりの向こうに命綱無しでぶら下がってくれって殺陣師に言われた。でもそれだけはイヤだってキッチリ断ったよね」

千葉氏;
「基本的に高い所は、イヤなんです。特にビルは嫌いです。狭いし距離感だってつかめないですからね」

聞き手;
「カメストーンって、撮影は向ヶ丘遊園ですね」

佐々木氏;
「治郎チャンの動きって、やっぱ軽快だよね。バネがあるから脚回るしさ、俺も器械体操やっておけばよかったな!」

聞き手;
「カメストーンでは、汚い池に顔を突っ込まれるっていう水責めのシーンもあったし、千葉さんは、ずいぶんひどい目に会ってましたよね?」

千葉氏;
「汚い池に顔を突っ込まれるの、もし自前の服だったら、怒ってやってない。ところで、いいこと思い出した。イソギンチャックの回で、柿を作っている畑の斜面のシーンがあるでしょ。この立ち回りで転がるんですけど、そこって堆肥まいたとこなんですよ。

だから芝居のあと、なんか服がクサくなってたまらなかったですね。でもこの時は、自前の服じゃなくて衣装だったんですよ(笑)」

佐々木氏;
「そんなの、助監督がチェックしとかないとね」

聞き手;
「立ち回り観てると、佐々木さんって左利きなんですね」

佐々木氏;
「右が最後に決まらないと、どこにいくか分からないんです。だから右で巻き藁を突いたこと無いですもの。どうしても、右手では耐えられないんですよ」

千葉氏;
「僕は右利きですけど、左手の方が正確。左手の方が、力入らないんですよ。だから余計な力を入れずに、正確に突ける」

聞き手;
「千葉さんのアクションのスピードは、特撮系ヒーロー系の役者さんの中でも、一番速いと思います」

千葉氏;
「そうですか。自分ではそんなこと、考えたことも無かった」

佐々木氏;
「そりゃ速いよ、観てて分るもん。俺とか藤岡君って様になってないし、ポーズがきまらないんだよね。アクションやって終わった時に、治郎チャンはピタッとハマってるのよ。でも当時は速かったけど、動きがまだちょっと小さかった」

千葉氏;
「まだアクションの見せ方を知らなかったんですよ。役者辞めてから、初めてそういうことが分るようになったんです。芝居のこととか目線とか、辞めてみてはじめて、それまでと違う角度から見るようになって、リズムとか呼吸とか分るようになった。自分が演ってるときは、全然気が付かなかった」

佐々木氏;
「千葉真一さんが大山倍達をやった『けんか空手・極真拳』やった時の治郎チャンをみて、ついにアクションで兄貴を超えたかって思ったもん。それくらい素晴らしかった。アクションが大きくなって、身体つきも変わってたし。いい意味でショックだった。

それで役者辞めたって聞いて、『何で?』って思ったもの。もっと役者として伸びていけるのに、持ったいない。何で辞めちゃったの?」

千葉氏;
「その頃自分じゃ、自分のこと見えてなかったんですよ。あのころ剛ちゃんが励ましてくれてたら、まだ役者辞めて無かったかもしれない(笑)」

佐々木氏;
「俺、治郎チャンと演ってて一番情けないと思ったのは、一緒にショッカーを追いかけてて、垣根があったとするじゃない。治郎チャンだけ垣根を飛び越えるんだよな。俺なんかは、垣根をよけて脇を走っていくしかないの・・・。これってたまんないよね。バネが違う、ホントにすごいなってこと、何度もあったもん」

千葉氏;
「ライダーでは、器械体操やってたのが役に立ちましたね。当時はバック転もできましたよ。そういう意味で、ぼくのは演技というか、何も考えずに体当たりでやってました。だから、剛チャンみたいに役者じゃ無かったんですよ。剛ちゃんは役者として、いつも見せることを考えて動きを創ってた。

僕はただ演ってるだけなんですよ。そういうことに、ある日突然気づいて、それで『自分は向いて無いな』ってしみじみ思って、役者を辞めることにした。剛チャンもそうだし兄貴もそうなんだけど、ふたりは根っからの役者、本質的に役者なんですよ。

うちの兄貴なんか、他人がいたら24時間千葉真一のままなんですよ。あれこそが役者だなって、思った。だけど、僕はそういうタイプじゃない。『僕は、ぼくでしかいられない』って感じたんです」

聞き手;
「ファンとしては、つくづく惜しいと思いますね」

千葉氏;
「そう言ってもらえるとうれしいですね。でも役者として足りないものが、たくさんあった」

佐々木氏;
「俺はやけどをした後に、役者として再起したかったんだけど、くすぶってた期間が5~6年あって、もうダメなんだって何回も思った。でもこのまま思いを残して辞めたら、役者として中途半端だと思った。このまま終わりたくない、ちゃんと演技がしたい。

オレが理想とする俳優は滝沢修さんで、その人を勝手にライバルだと思ってた。10代の頃その人の芝居を見て、役者を目指すようになった。でもいくら演っても、その人との距離は縮まってない。でももうちょっと役者として、何とかなりたいよね」

千葉氏;
「僕が役者を辞める時、ずいぶん言われましたね。でも僕の中ではリタイアとは違う。自分には信念がありましたから、きっぱりと足を洗いました。中途半端に役者やってた自分には、芝居に対して厳しい気持ちが無かったんだと思っています」  (つづく)


★★★★★★★★★★★★
千葉治郎氏はハンサムなので、この対談に載ってる写真はもうおじさんのはずなのだが、見ていてカッコイイなぁと思う。本当に、役者を辞めてしまったことが勿体ないなと思ってしまう。人は見かけによらないという言葉(ちょっと使い方が違うかナ!)もある。

カッコイイから役者に向いているとは限らないということだ。だとしたら、筆者にもチャンスはあるかな?(笑) 今は森林を守る仕事に就いておられると聞く。

話は変わるが、快傑ズバットで、千葉治郎氏が悪役をやっていたことを思い出した。ズバットスーツに対抗する?ために開発した繊維、シルベールをめぐって争う話だ。どうも悪役は彼には似合わない、やっぱり悪をたおす正義の味方がよく似合う。



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