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仮面ライダー(6) ~一文字隼人と滝和也、メモリアルヒーローズ対談その3 [一文字ライダー・その1]

(前回のつづき)
佐々木氏;
「正直言って俺は当時忙しかったから、ちゃんと台本を読んだ記憶があんまり無いの。だからスタジオに行って、治郎チャンに聞いてたりした」

千葉氏;
「そうだっけ?」

佐々木氏;
「メーキャップ室なんかで説明を聞いて、『部屋のシーンだから、飛び込んでこうだな?』とか、パターンを先読みするんだ。でも時々つながらないこともある。なにせ、台本読んでないんだから(笑)前のシーンではそ―っと来てるのに、部屋に入ったシーンではバッと飛び込んでくる。

そういうつながりの悪いカットがあるもん。読んでない証拠じゃないですか(笑) 俺なんか酔っぱらってて全然ダメだったカット、たくさんある。山田監督が唾飛ばして怒ってさ。大遅刻して首絞められたり、石ぶつけられたりしたこともある。でも、こういうのは時々ですからね(笑)」

千葉氏;
「でもこういう人だからこそ、現場が緊張しないんですよ。彼はそう意味では、良いキャラクター持ってるんですよ。スタッフなんかも、『またか・・・』って感じで楽しんでる」

佐々木氏;
「でもね、演技してる時はふざけてたわけじゃないんですよ。怪人の名前呼ぶのって、大体セリフ決まってるじゃないですか、『出たな、ショッカー!〇〇怪人』って。特に後半なんてストーリー的にやること同じだし、水戸黄門だよね(笑)」

聞き手;
「千葉さんには、迷惑かかってたんですか?」

千葉氏;
「僕は剛ちゃんが台本読んでないっていうの、てっきりウソだと思ってましたよ。本当に読んでこないなんて、自分なら考えられないから。

そういった意味で、僕は真面目でしたから。いまだに夢を見ますよ。役者を辞めてもうもう20年(当時)にもなるのに、夢の中でうなされてるんですよ。本番!って声がかかった時に、全然セリフが頭に入ってなくて焦ってるんです」

聞き手;
「千葉さんは、あまりNGは出さなかった?」

千葉氏;
「出さなかったと思いますよ、そんなに・・・」

佐々木氏;
「俺も若い時は、今みたいに図々しくなかった。本番行きます!って言われて、『あ、ちょっと待って台本』っていう、スタッフに言えないプレッシャーみたいなものありましたよ。『柔道一直線』で、セリフ覚えるのに苦労したもの。今でも最初のセリフ覚えてるくらいだから、それだけ一所懸命だったってことでしょ。

最初って、ものすごく台本読み込むわけじゃないですか。テレビの場合、仕事が増えてサイクルが速くなると、覚えるところまでいかなくなる。ここはあの監督だからこうカット割るだろうな、みたいな覚え方になってくる。

スタジオドラマの場合はワンシーン・ワンカットだけど、テレビの場合はあの監督がいてこうだなって、そういう覚え方をする。だから台本読んだとしても、完全に覚えるまではしない。次の役に生まれ変わるために忘れるのも、役者の仕事だからね。

だからちょっと前までいた日光江戸村で、千回以上舞台でやった10分程度の芝居なのに、吉良のセリフがもう思い出せないからね」

聞き手;
「そんなもんですかね」

佐々木氏;
「江戸村の初日の時に、江戸村の幹部がみんな見に来て、お客さんもいっぱい入ってたの。それなのにさ、全然セリフが出てこないの。それで舞台の上から『う~ん、何でござったかな』って演出家に聞いちゃったもん。それを10分間に2回もやった。そしたら、さすがだって言われて。

でも本人は、ホントビビってるもん。そこで頭の中真っ白になって立ち往生しちゃったら、大恥だったよね。でもいまだに芝居してて、一公演中に2~3回は舞台でまっ白になりますよ。ただ稽古してるから、セリフが出てくる。他のセリフ言いながら、どうしようって考えてるわけよ。ちゃんと稽古してれば、セリフを思い出す」

聞き手;
「藤岡さんは、ちゃんと台本読んできていましたか?」

千葉氏;
「佐々木さんと違って、藤岡さんはちゃんと覚えて来てました(笑)」

佐々木氏;
「藤岡君は、真面目にものを考えるタイプたんですよ。俺なんかいい加減だから、柔道、空手、それにキックボクシングだってデビュー前にちょっとかじった程度だもん。だからカッコだけなんですよ。でも、彼は本物の武道家だし。

治郎チャンだって少林寺拳法やってて、道場開いてるなんて噂があったくらいだもん。噂になるくらいやってたわけでしょ。やった以上は極めるみたいな、役者以外にもうひとつ、何か別のものを持ってる」

千葉氏;
「でも時代劇を演じたら、僕なんかより剛チャンのほうがピタッとはまる。それぞれに持っているものが違いますから。基本的に僕には、時代劇は合わないんですよ」

聞き手;
「一度、『仮面ライダー』でも紋次郎スタイルになってますよね、72話(*)ですけど」
*正しくは77話で、股旅姿を披露する滝!

千葉氏;
「えっ、まったく覚えてません(笑)」

聞き手;
「佐々木さんにとって、千葉さんはどんな存在だったでしょうか?」

佐々木氏;
「治郎チャンは、とっても優しい男だった。あの滝和也というキャラクターが治郎チャンそのものだったと思うと、何かうれしくなってくるね」

聞き手;
「そうですね」

佐々木氏;
「ライダーに関して言うと、藤岡君の立ち回りだって俺の立ち回りだって、治郎チャンに比べたらすごくカッコ悪いですよ。治郎チャンの軽快さとスピードには、絶対勝てないんだから。

俺はあくまでこの番組の主役は、剣友会が演じた変身後の仮面ライダーだと思っているけど。そういう意味からすると、仮面ライダー2号という主役を支えていたのは、まったく滝和也だと思うんだけどね!」

(つづく)


★★★★★★★★★★★★
今回の件(くだり)で、佐々木氏が『いい加減』で、千葉氏と藤岡氏は『ごく普通』だということに落ち着きそうだが(笑)、『いい加減』は《良い加減》とも書くし、要はあまり神経質になってもいけないし、ちゃらんぽらんでもダメだということだと思う。

筆者の持ってるイメージでは、『いい加減』と『ちゃらんぽらん』は、まったく別である。『真面目』と正反対の位置にあるのが、『ちゃらんぽらん』。 いい加減は、その両者のちょうど真ん中あたりだと考える。『いい加減』とか『適当』とか、言葉のもつイメージは一見良くないが、残りが少なくなりつつある筆者の人生、『いい加減や適当』な人生を心がけている、今日この頃である。



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