帰ってきたウルトラマン(2) ~初めて目撃する、2頭の怪獣と激突するウルトラマン [帰ってきたウルトラマンこぼれ話1]
『帰って来たウルトラマン』の始まる約半年前に、それまでくすぶっていた怪獣ブームに再び火をつけた『ウルトラファイト』が始まっている。燃え盛る炎の中からウルトラファイトの文字が出て来て、バックには初代ウルトマン活躍のテーマ曲が流れていた。
関東地区では確か夕方5時半から5分間ほどの短い番組だったと思うが、当時の子供たちにはインパクトがあった。何しろウルトラの決闘場面がいきなり見られるんだから。
ウルトラセブンの評価が高い理由として人間ドラマがしっかりしているということをよく言われるが、子供にとっては『ウルトラマン対怪獣』の決闘がメインになる。このおいしい所だけを見られるウルトラファイトは、人気番組だった。今回はこの決闘場面について、意外なことが分ったというお話。
帰ってきたウルトラマン第3話の『恐怖の怪獣魔境』において、我々はある光景を初めて目の当たりにする。この回のクライマックスは、霧吹山に出現したサドラーとデットンの2大怪獣が激突を繰り広げる中、ウルトラマンが登場し、より強力な敵の出現にこの2頭が共同戦線を張りウルトラマンに立ち向かうという展開である。
それまで激しく戦っていた2頭が、ウルトラマンが現れた途端に力を合わせるというその態度は、怪獣同士が持つ本能的なものなのか?問題の光景とはまさにこの瞬間のことである。
すなわち、ウルトラマン対2大怪獣という複数の怪獣との戦いのシーンは、過去のウルトラマン対決には無かったのである。意外な気がするが、ウルトラマン、ウルトラセブンのシーンで、複数頭の怪獣との格闘は無い。
『ウルトラマン』には、複数の怪獣が登場する回は何度かある。第8話『怪獣無法地帯』では、レッドキングをはじめとして総勢5体の怪獣が出てくる。
第19話『悪魔はふたたび』のバニラ・アボラス、第25話『怪彗星ツイフォン』のギガス・ドラコ他1体、第37話『ちいさな英雄』ジェロニモン・再生テレスドン他2体、第38話『宇宙船救助命令』のサイゴ・キーラと、
いずれも皆サービス精神あふれる娯楽編ぞろいだが、どの回も初代ウルトラマンと直接戦ったのは、最終的には1頭であった。
ウルトラマンと戦わなかった他の怪獣たちは、怪獣同士の戦いで敗れたり、科学特捜隊の兵器によって倒されたりして、ウルトラマンに当たる前に『予選落ち』してしまう。ウルトラマンは、シード権を持ったチャンピオンと同じなのだ。
そもそもウルトラマンの原点は、謎の宇宙生物ベムラーという『怪獣』であった。怪獣が怪獣を倒すという企画から始まった。つまり怪獣が主役なのである。
企画は練り上げられるうちにヒーローという形になり、強靭な肉体と超能力を持ち、人間のような心を持った我々の知るウルトラマンの形にたどり着く。だが、物語は様々な理由で出現する『怪獣』がメインであり、それをウルトラマンがどう料理するか(処理するか)が見どころになる。
いわばウルトラマンはホスト役であり、怪獣はゲストなのだ。怪獣の魅力を引き出しながら、最後に残った怪獣にうまく退いてもらうことに努めるのが、ウルトラマンの役目となる。従って2頭の怪獣が戦っている時には、そこに割って入ることはしなかったのが初代ウルトラマンの展開だったのだ。
しかし新マンではそのルールを破り、初めて2大怪獣(ふたりのゲスト)の中に割って入り、自分を主張した。主役は俺だと。メインライターの上原正三氏が言っている。『かつてのウルトラマン・ウルトラセブンは金城しか成し得ない完成した世界であり、パターン的にやり尽されている。
少し変化を持たせるために、ウルトラマン自身が成長するスポ根ものにする』と。つまり弱いウルトラマンが、強くなる話にしようということである。もはやシード権は無く、一回戦から戦おうと(笑)。よく言われる『新マンは弱い』は、この設定が根底にあるからだ。
★★★★★★★★★★★★
1965年に東宝映画が、『フランケンシュタイン対地底怪獣』を発表している。これを最近CS放送で見て、『人間型ヒーロー対怪獣』の原型を見ているような気になった。
特撮監督はもちろん、円谷英二氏である。終盤の森の中での両者の対決シーンは、ウルトラマン対怪獣そのままである。翌66年ウルトラマンは産声をあげていることから、円谷英二氏はこの映画を撮りながら、すでにウルトラマンのイメージが出来上がっていたように思われてならない。
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関東地区では確か夕方5時半から5分間ほどの短い番組だったと思うが、当時の子供たちにはインパクトがあった。何しろウルトラの決闘場面がいきなり見られるんだから。
ウルトラセブンの評価が高い理由として人間ドラマがしっかりしているということをよく言われるが、子供にとっては『ウルトラマン対怪獣』の決闘がメインになる。このおいしい所だけを見られるウルトラファイトは、人気番組だった。今回はこの決闘場面について、意外なことが分ったというお話。
帰ってきたウルトラマン第3話の『恐怖の怪獣魔境』において、我々はある光景を初めて目の当たりにする。この回のクライマックスは、霧吹山に出現したサドラーとデットンの2大怪獣が激突を繰り広げる中、ウルトラマンが登場し、より強力な敵の出現にこの2頭が共同戦線を張りウルトラマンに立ち向かうという展開である。
それまで激しく戦っていた2頭が、ウルトラマンが現れた途端に力を合わせるというその態度は、怪獣同士が持つ本能的なものなのか?問題の光景とはまさにこの瞬間のことである。
すなわち、ウルトラマン対2大怪獣という複数の怪獣との戦いのシーンは、過去のウルトラマン対決には無かったのである。意外な気がするが、ウルトラマン、ウルトラセブンのシーンで、複数頭の怪獣との格闘は無い。
『ウルトラマン』には、複数の怪獣が登場する回は何度かある。第8話『怪獣無法地帯』では、レッドキングをはじめとして総勢5体の怪獣が出てくる。
第19話『悪魔はふたたび』のバニラ・アボラス、第25話『怪彗星ツイフォン』のギガス・ドラコ他1体、第37話『ちいさな英雄』ジェロニモン・再生テレスドン他2体、第38話『宇宙船救助命令』のサイゴ・キーラと、
いずれも皆サービス精神あふれる娯楽編ぞろいだが、どの回も初代ウルトラマンと直接戦ったのは、最終的には1頭であった。
ウルトラマンと戦わなかった他の怪獣たちは、怪獣同士の戦いで敗れたり、科学特捜隊の兵器によって倒されたりして、ウルトラマンに当たる前に『予選落ち』してしまう。ウルトラマンは、シード権を持ったチャンピオンと同じなのだ。
そもそもウルトラマンの原点は、謎の宇宙生物ベムラーという『怪獣』であった。怪獣が怪獣を倒すという企画から始まった。つまり怪獣が主役なのである。
企画は練り上げられるうちにヒーローという形になり、強靭な肉体と超能力を持ち、人間のような心を持った我々の知るウルトラマンの形にたどり着く。だが、物語は様々な理由で出現する『怪獣』がメインであり、それをウルトラマンがどう料理するか(処理するか)が見どころになる。
いわばウルトラマンはホスト役であり、怪獣はゲストなのだ。怪獣の魅力を引き出しながら、最後に残った怪獣にうまく退いてもらうことに努めるのが、ウルトラマンの役目となる。従って2頭の怪獣が戦っている時には、そこに割って入ることはしなかったのが初代ウルトラマンの展開だったのだ。
しかし新マンではそのルールを破り、初めて2大怪獣(ふたりのゲスト)の中に割って入り、自分を主張した。主役は俺だと。メインライターの上原正三氏が言っている。『かつてのウルトラマン・ウルトラセブンは金城しか成し得ない完成した世界であり、パターン的にやり尽されている。
少し変化を持たせるために、ウルトラマン自身が成長するスポ根ものにする』と。つまり弱いウルトラマンが、強くなる話にしようということである。もはやシード権は無く、一回戦から戦おうと(笑)。よく言われる『新マンは弱い』は、この設定が根底にあるからだ。
★★★★★★★★★★★★
1965年に東宝映画が、『フランケンシュタイン対地底怪獣』を発表している。これを最近CS放送で見て、『人間型ヒーロー対怪獣』の原型を見ているような気になった。
特撮監督はもちろん、円谷英二氏である。終盤の森の中での両者の対決シーンは、ウルトラマン対怪獣そのままである。翌66年ウルトラマンは産声をあげていることから、円谷英二氏はこの映画を撮りながら、すでにウルトラマンのイメージが出来上がっていたように思われてならない。
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タグ:二大怪獣と戦う新マン 新マン秘話
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