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ウルトラマン(5) [初代マン・ドラマ1]

《第21話 噴煙突破せよ》を取りあげます。

監修;円谷英二
脚本;海堂太郎
音楽;宮内国郎
特殊技術;高野宏一
美術;成田 亨
監督;樋口祐三

【毒ガス怪獣ケムラー(鈴木邦夫)】登場


▼大武市にある大武山(おおむやま)は、今は活動をしていない死火山である。だが、この大武山付近で、最近不可思議な現象が多発しているという情報が科特隊に入ってきた。大武山の麓を散歩していた中学生は、鳥の屍骸がたくさん落ちていると学校へ届けた。

また、大武山へハイキングに来た女性4人がお弁当を食べていると、急にガスが流れてきて、その中に巨大な目玉を見たという証言をした。川に魚の死体が浮いたり、一晩で木の色が変化したりということも・・・。

アラシはあまり気乗りがしないこの事件を、思わず女・子供の仕事だと言ってしまう。そこで科特隊の紅一点・フジ隊員は、自分がこの事件の調査に行くと告げるのだった。ムラマツ隊長は危険が無いモノと判断して、小型ビートルで出かけるようフジ隊員に命令した。

フジ隊員を乗せた小型ビートルが出発してしばらくすると、隠れていたホシノ少年が姿を現した。ホシノ少年は、かつて事件解決に貢献した功績を称えられ、科特隊準隊員として認められていた。今小型ビートルの助手席に乗っているホシノ少年は、科特隊のユニフォームを着た準隊員なのである。

大武山の麓へ小型ビートル機を着陸させたフジ隊員とホシノ準隊員に、大武山レストハウスの支配人がやって来て苦情を言うのだった。

ここ最近の大武山のウワサが元で、観光客が激減しているという。科特隊が調査に来たと言う話になれば、増々何かあるのではないかと疑われ、観光客が寄り付かなくなってしまうのが困るというのだ。

話をしている最中に、小さな地震が起きた。
『この辺は、地震が多いんですか?』
『最近、少し多いようですがね』

大武市には地震研究所があった。二人はそこへ調査に行ってみる。
『少し奇妙なのは、ここ一か月くらいの間、人体に感じないような微妙な揺れが、観測され続けていることです』

大武市の地震研究所でも異変の兆候を捕えていたことを、フジ隊員は確認した。報告を無線で聞いたムラマツ隊長は、総合的に判断して今後の事を決めると言って、帰投命令を出した。

『フジ隊員は、ホシノ君と直ちに帰還せよ』
『了解!』

この時、大武山の方からフラッシュのようなまぶしい光が光ったかと思うと、もうもうとした煙が小型ビートルに迫って来て、あっという間に視界がゼロになった。機内に入ってきた煙を吸った二人は、気を失ってしまうのだった。

小型ビートルとの連絡が取れなくなった本部では、ムラマツキャップから出動命令が出た。ビートル機で大武山上空へ来たものの、ガスで視界がゼロの状況だ。しかも、ビートル機の危険表示メーターが急激に上がり出した。

それはビートル機を取り巻いているガスが、危険物であることを示していた。ムラマツキャップは全員に防毒マスクを着けるよう指示して着陸した。大武山の火口へむかう一行の目の前に、火口から顔を出した巨大な怪獣ケムラー。

4人は一斉にスーパーガンを発射したが、あまり効果が無い。すると怪獣ケムラーは大きく口を開け、口の中が3回光ったかと思うと、濃い灰色の毒ガスを吐き出した。キャップは、一旦退却の命令を出した。

四つ足で這うように歩くケムラーは、大武山の火口から這い出ると町のある方角へ進み出した。ケムラーが前進していくその先には、小型ビートルがある。ホシノ準隊員が先に目を覚ましたが、周囲は毒ガスが充満していて視界はゼロだ。

フジ隊員を揺すって起こそうとしたが起きず、本部へ連絡を入れたが応答が無い。無線が壊れたと思ったホシノは、その時前方にかすかに見える巨大な影の存在に気が付いた。それはだんだんと近づいてくる。
『怪獣だ!』

ホシノは小型ビートルを飛ばそうと操作したが、ジェット噴射が出ているのにスロットルレバーを引いても推進力が出ない。刻一刻と怪獣は迫っていた。

その頃、ビートルに戻ってきたキャップたち4人は、一旦本部へ引き上げるために発進しようとしていた。だが、イデが発進に待ったをかけた。

『どうした、イデ?』
『あの音・・・』
『小型ビートルの音だ!』

『フジ隊員、こちらムラマツだ。無事だったか!』
『キャップ、ホシノです!フジ隊員も一緒です』

怪獣がすぐ近くまで迫っていることを伝えると、ムラマツキャップは指示通りやればできるからと言って、ホシノに操縦の仕方を指示した。

『まず酸素ボンベを開け・・・』
『操縦席に座ったら、スタンバイ①を押せ・・・』
『サイドレバーをあげろ・・・』

『よく音を聞け。音が変わったらジェットスイッチを入れろ・・・』
『続いてレバー②を入れろ・・・』
『スロットルレバー全開・・・』
『操縦かんを引け、発進!』

ゴーという音がして、小型ビートルは発進した。発進音が聞こえて成功したことが分かり、喜ぶイデやアラシ、ハヤタ達。

今まで小型ビートルがいた場所には、ケムラーの尻尾の先から発射された破壊光線が当り、爆発したのだった。狙われていた小型ビートル。間一髪、小型ビートルはホシノの行動力とムラマツキャップの適切な指示のおかげで、難を逃れた。

自動操縦に切り替えて本部へ向かう小型ビートルの操縦席で、ホシノは手袋をしたまま、手で額の汗を拭って笑顔になった。キャップたちのビートル機も、一先ず本部へ引き上げることにした。

防衛隊の攻撃で町への侵入を阻止する間に、ケムラー対策を立てる科特隊。イデは毒ガス中和剤の開発に取り組んでいた。研究室へやって来たホシノは、怪獣の弱点を攻める方法を考えろという。

『どんな怪獣にだって泣き所があるでしょ。そこを一撃でやっつけるんだよ!』
『うーん。泣き所をただの一発でね・・・』

『あの怪獣の背中を狙うんだ!』
『うーん、背中ね・・・』

大武山付近の町は、ケムラーの吐く毒ガスによって、死傷者が大勢出ていた。人口5万人の大武市へ入れては大惨事になる。防衛隊の戦車隊が攻撃を開始した。だがケムラーの前進を止めることが出来ない防衛隊。

ムラマツ隊長は、ビートル機でナパーム弾をケムラーの頭に直接落とす作戦をハヤタに命令した。地上からは、アラシがスパイダーで応戦する。

ナパーム弾を投下するが、効き目がない。尻尾の先から出す破壊光線が、ビートル機に迫る。ケムラーの背中に付いている二枚の甲羅が、ナパーム弾を寄せ付けないのだ。

ビートルがケムラーの背後から攻撃しようと迫った時、低い姿勢でジッとしていたケムラーの背中の甲羅が羽根を開くようにパッと開き、ビートルはそれに激突してしまうのだった。

ハヤタは一瞬早く脱出して、地面に向かって落下していく途中で、ベーターカプセルを焚いた。ウルトラマン登場。ケムラーのあごを右足で蹴り上げると、裏返しになったケムラー。

すぐに姿勢を戻すと、口中が光って毒ガスを吐くケムラー。少しひるんだウルトラマンは、態勢を立て直してスペシウム光線を発射した。だが、ケムラーには効き目がなかった。

ホシノのアイデアを活かして、イデが開発したマッドバズーカが完成した。弾丸は一発しかないので、効果を上げるためにもケムラーにできるだけ接近して撃つしかない。ケムラーの背中にあるコブのような部分を狙うのだ。

アラシの右肩にバズーカの頭部を乗せて後ろでイデが狙いを定めて撃つのだが、激しい動きの両者のため、狙いが定まらない。
『ウルトラマーン!頼むよぉ。ケムラーを撃ちたいんだ!』

ホシノ少年の声が届き、ウルトラマンは四つん這いのケムラーの頭をつかんで持ち上げると相撲のように組み合い、その背中をこちらへ見せるようにして動きを止めた。

バズーカ砲から爆音がして、急所に弾丸が命中!ドサッと倒れるケムラー。虫の息のケムラーは、最後の力を振り絞って大武山の火口へ身を投じて死んだ。

ガス中毒で入院しているフジ隊員を見舞うムラマツキャップ以下4名は、アラシ、イデ、そしてハヤタではなくホシノであった。ケムラーとの戦いでハヤタのビートルは撃墜され、行方知れずであった。ハヤタはパリ本部へ行っていて見舞いには来られないことにして、口裏を合わせる4人。

病室へ入った4人は、フジ隊員の快復した姿よりもハヤタがいたことに驚く。
『ハヤタ、やっぱり無事だったのか!』

皆、フジ隊員のお見舞いのことなど、すっかり忘れてしまったかのような騒ぎとなった。
『女・子供は、結局相手にされないもんね!』

ホシノ少年はそう言って、キャップたち男を失笑させるのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回は、ホシノ少年の活躍が大きい。ブルトンの回で事件解決に功績があったため、科特隊のユニフォームをキャップからプレゼントされたホシノ少年は、それ以来準隊員として活躍するのだ。

追伸:脚本の海堂太郎は、樋口祐三監督のペンネームであります。


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