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宮内洋、ヒーロー一本道(8)  『特警ウィンスペクター』と『特救指令ソルブレイン』その1 ~若いホープたちとの交流 [宮内洋・2]

『特警ウィンスペクター』は1990年(平成2年)2月から1年間、また『特救指令ソルブレイン』は1991年(平成3年)1月から1年間放映された「メタルヒーローシリーズ」で、これらは特に『レスキューポリスシリーズ』と呼ばれる。

時代設定を近未来の1999年にして、科学技術が発達したおかげで人々の生活は豊かになったが、発達した科学の力が犯罪に悪用されたり、暴走して制御不能に陥ったりしたときに起こる被害は、はるかに大きなものになっていた。

そんな事態に対処するために設立されたのが、「警視庁特別救急警察隊」特警ウィンスペクターであった。彼等の活動目的は、犯罪捜査と容疑者逮捕はもちろんだが、事件・事故に遭われた被害者の人命救助に、最重点を置いていた。

ドラマの大きな特徴は、従来のような大規模な「悪の組織や怪人キャラクター」は登場せず、普通の犯罪や災害に遇った人々の人命救助という、いわゆる刑事ドラマの要素にヒーロー番組らしいSF的要素を取り入れた内容となっている。

「集団ヒーロー」として始まったという点ではこの作品が初であり、これ以降のメタルヒーローシリーズは、単独ヒーローから集団ヒーローへと、方向転換をすることになっていく。今回のこのシリーズは、筆者は全く存在すら知らなかった。ついに宮内洋氏が変身しないまとめ役として、登場するシリーズなのだそうだ。
では、宮内氏のお話をどうぞ。


★★★★★★★★★★★★
コンピュータの発達と共に、特撮ものが変わってきた。画面がより鮮明に、よりスピーディーに。宮内氏がたくさん演じてきた刑事ものを入れても、位が一番高い本部長役。集合体の中でも変身が無い。いよいよ、まとめ役がやってきた。

正木本部長をどう演じるか、若きヒーロー達を、どう出してゆくべきか。若手俳優が挨拶に来る。「今度主役を演ります〇〇です」ときたもんだ。「脇役をやります宮内です」と返したら、周りにいたスタッフがころげて笑った。「人間教育からスタートせねばいけない」と思ったのが、この作品のスタートだった。

特警シリーズ第一弾は『特警ウィンスペクター』だ。平和を愛し、友情を信じ、人の命を守るため、犯罪に立ち向かう「警視庁特別救急警察隊」のことである。科学の発達に伴い、ハイテク技術を利用した凶悪犯罪が急増。これらの犯罪から一般市民を守るため、捜査と救急活動を同時に行う特別救急警察隊。

その正木本部長を、演る。まず警察官ということで、衣装から入って行った。それに合う帽子を見つけておいて。だが仮縫いはしたものの、衣装が間に合わない。そのままクランクインになってしまった。どうするものかと考えた末の特別策が、「コートとマフラーを使用し、内を隠す」こと。第一話とタイトルバックは、それゆえの皮コート姿なのである。

出演する若きホープたちを食事に誘うのが、常だった。悪気はないのだろうが、撮影初めにあったように間違った振る舞いをしてしまう若い人達を、若いホープにふさわしい人間にするため、宮内洋がこれまで学んだことを伝えておきたいと、強く感じたからであった。

「役者とは何か?」「人間とは何か?」「人生とは何か?」父や諸先輩方から学んだことを、やさしい言葉で食事の間の会話の中に、織り込んでいった。雰囲気はいつも楽しい昼食だったが、その中にどれだけの大切なことが織り込まれていたか、若い彼らに理解してもらえただろうか?

『燃やせ瞳を』をデュエットした藤野純子役の中西真美さん。今は良きママ振りをしていると聞く。きっと良い家庭を築いていることだろう。小山久子役の小栗さちこさんは数多くのコマーシャルで活躍しており、丹波道場生のひとりであった。

山下優さんの消息は、何も入ってこない。今はどうしていることだろうか?正木本部長は、仕事には厳しいが、隊員想いで隊員がピンチになった時には、自ら現場に赴いて指揮を取る、との設定。年に関東1回、関西1回のペースで、舞台を演っていたので、関東の時は劇場に入る前の早朝ロケーション。

関西の時は、1回公演が終わるとすぐに新幹線に乗り、東京練馬の大泉撮影所へと直行することになった。夜9時位からセット撮影に入り、終わると寝ずに朝6時発の新幹線に乗り、関西の劇場へと頑張ったものだった。  (つづく)



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