SSブログ

帰ってきたウルトラマン(27) ~座談会;振り返ってみたウルトラマン/サータンの巻 [新マン座談会・2]

ウルトラマンのスーツアクター・きくち英一氏が、聞き手の某映画監督とふたりでビデオを見て、当時の記憶を思い出しながら各話のエピソードを語るシリーズ。第15弾は、身体の構造が中性子で出来ており、ビルをすり抜ける能力を持った象の様な面構えの宇宙怪獣サータンが登場する第19話『宇宙から来た透明大怪獣』を取り上げます。

◆次郎君の通う学校は、今夏休み。ウサギの飼育のさなか、次郎たちは小型の隕石が落下するのを目撃する。念のために調査をしたMATだが、特に異常がないため、隕石は学校の標本室へ保管された。ところが突然、その隕石は巨大化して校舎を破壊し、ウサギを助けようとした次郎は大怪我を負ってしまう。

見舞いに訪れた郷隊員は次郎から怪獣の存在を聞かされ、死んだウサギの敵討ちを頼まれる。MATは怪獣の存在を赤外線カメラで確認は出来たものの、攻撃すると透明になってしまう怪獣サータンに翻弄されてしまう。次郎は大好きな郷とMATの苦戦を知り、心理的に動揺して容態が悪化してしまう。

身体の構造が中性子で出来ているため、物質を素通りしてしまう特徴を持つ宇宙怪獣に対して、MATは怪獣の細胞組織をかく乱させる「原子核放電作戦」を展開するが・・・。

脚本;上原正三、
監督;鍛冶 昇
特殊技術;佐川和夫

★★★★★★★★★★★★

聞き手;
「この回は変わった変身の仕方をしますね。郷秀樹が外を走ってきて、ウルトラマンも同じ場所を走っていて、カットバック(*)しながら変わっていくという。この時はスタジオでは無くて外でロケしていますね。ウルトラマンが外へ行くと大変でしょう、子供たちが集まってきて」
(*)映画の技法。あるカットから別のカットに移り、ついでまた初めのカットにもどすことで事件や心理の表現が強調できる技法

きくち氏;
「でも、そんなには出てないけどね。逆に本編の役者の方がね、大変だったそうです。変身してくれとか言われて。それとあのオレンジ色の衣装でしょ。

昼食事に行くのに、目立って大変。たまに街中での撮影があるとすると、ミニサイン会になっちゃってたりしてました。『おお、ウルトラマンはやっぱりすごい人気なんだ』と実感するのは、実は視聴率なんかより、ファンの人の反応を見た時ですね」

《ウルトラマン、ビル街を走りまくる》
聞き手;
「外がよく見えないのに、すごく走りますね」

きくち氏;
「これね、怖いからうしろ(のチャックは)閉めてないんですよ」

聞き手;
「左手に黒いテープが巻いてありますね」

きくち氏;
「破れてたのかな?本物のブレスレットは先がとんがってるから、自分でスーツにひっかけて破いたりするんです。それでアクションの時は、代わりに銀のテープを巻いて演りました」

聞き手;
「肘のところも巻いてますよ」

きくち氏;
「破けてて、そのままじゃあんまりだけど、時間が無いから、これでやっちゃえって、ことだったんでしょうね」

聞き手;
「普通に見てたんじゃ、絶対に気付かないでしょうしね。アクションですから」

きくち氏;
「このサータンを見たときは、象の様な鼻を武器にしようと、鼻の長いの(4メートル位)を特注して、それに巻かれて苦しんだり、投げられたりしようと、考えたんです。怪獣の特徴をいかに活かすか、そればかり考えていましたね」


★★★★★★★★★★★★
透明怪獣、または忍者怪獣という設定であるサータン。デザインは利光貞三(としみつ ていぞう)氏であるらしい。「らしい」と書いたのは、署名からそう判断されたためと資料にはある。東宝所属の怪獣造形家で特撮美術スタッフ、彫刻家。

『ゴジラ』製作のため円谷監督に招かれて、東宝撮影所に入所。日本初の映画怪獣ゴジラのぬいぐるみ制作を行った。以後、東宝特撮映画の怪獣専門の造形チーフを担当する。1971年にフリーになり、サータンはこの年にデザインされているので、フリーになってから取り組んだ作品の第1号だったのかもしれない。

造形制作に対しては非常に時間をかけ、じっくり作り込むタイプだったそうで、「直付け手法(じかづけしゅほう)」と呼ばれる方法で作り込まれた怪獣の顔は、微妙な陰影を生んで非常に個性深いものだったという。

1973年には、日本テレビの「おはよう子供ショー」内でやっていた『行け!ゴッドマン』の怪獣デザインを担当している。資料によれば、1982年に他界されている。享年74歳。

サータンは、ウルトラマンがベムスターの次に対戦した宇宙怪獣である。ベムスターに比べるとインパクトはいまひとつだが、面構えの怖さや長く伸びた鼻を武器とするところ、また最大の特徴である身体が中性子で出来ていてビルなどの物質を通り抜けるという設定は、

ゴルバゴスやネロンガ、エレドータスなどの保護色で誤魔化す透明化とはまったく違うタイプの透明怪獣であり、地球の生物では無い(つまり宇宙から来た)という設定がよく活きていると思う。


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました