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帰ってきたウルトラマン(20) ~座談会;振り返ってみたウルトラマン/シーモンス・シーゴラスの巻 [新マン座談会・2]

ウルトラマンのスーツアクター・きくち英一氏が、聞き手の某映画監督とふたりでビデオを見て、当時の記憶を思い出しながら各話のエピソードを語るシリーズ。第11弾は、南海の孤島に住む伝説の夫婦怪獣が産卵のために日本へ上陸する・・・
第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!』
第14話『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』の二本立てです。


  ***第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!』***
脚本;上原正三
監督;冨田義治
特殊技術;佐川和夫


◆宝石の原石を満載した海神丸が日本へ向かって航海途上、謎の沈没事故をおこす。高村船長だけが助かり病院に収容されたものの、事故のショックか記憶を失い廃人同様になってしまっていた。

娘の陽子は子供の頃から聞かされてきた「シーモンスの歌」を披露し、事故の原因はこの怪獣に襲われたためだと主張するが、MATは信じようとはしなかった。やがて怪獣シーモンスが日本へ上陸しセメント工場に居座るが、歌の解析をしたMATは怪獣攻撃を躊躇する。

工場を占拠された工場長は、シーモンスを攻撃しないMATをあきらめ自衛隊に攻撃を依頼したが、それが怪獣シーゴラスを呼ぶ結果となり、シーゴラスが起こす大津波が東京を呑み込む勢いで迫っていた・・・。


★★★★★★★★★★★★

《冒頭、船の上での宴会シーン》
きくち氏;
「これはボク、素顔で出てるんです。小林昭二さんが船長で私の役は操舵士でね、残りの船員はみなウチトラ(*)ですよ。東條(助監督)さんもハチマキして踊ってる」
(*)内輪のエキストラのこと。主にスタッフたち。

聞き手;
「踊ってますね、良い芝居してる。あ、きくちさん死んじゃった。顔出しはこれで終わりですか?」

きくち氏;
「「ウルトラマンあるから。(笑) 本編の冨田義治監督は現場でいろいろ考えられる方で、東條助監督がよく文句を言っていたのが、印象的ですね」

《押し寄せる大津波の前に立つウルトラマン》
聞き手;
「名シーン中の名シーン、波の壁のシーンです。これは何と、本当の波の画撮ってるんですよね。きれいですよね、本物は迫力が違います。この波を待ち受けるウルトラマンは人形かと思ってたけど、違うんですね。合成像ですね」

きくち氏;
「この夫婦怪獣は、大きい方のシーゴラスが遠矢で、小さい方のシーモンスが森平。ツインテールをやってた奴ですね」

聞き手;
「大津波が東京を襲い、それにひとりで立ち向かうウルトラマン!という画で、次回に続くんですね。テレビ映画としては、最高の引きですよね」

きくち氏;
「いいですねぇ。これも予算がかかってましたからね。名作です」

◆◆◆怪獣役者;遠矢孝信氏の証言◆◆◆
僕はこの時シーゴラスでしたが、単独の時はシーモンスにも入りました。ちょっと動きがいまいちということだったんで。この話は水落としがあるんですが、一番深い所は2メートルあるんで、怖かったです。歩いていくと『あ、水が入ってきた。ヤバい』と思ったとたんワーッときて、後はもうわからない。流されてしまったんです。誰かがチャック開けて助けてくれたんですが、もうほとんどおぼれてましたね。


   ***第14話『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』***
◆シーモンスの助けを呼ぶ声に応えて、シーゴラスが大津波をおこしながら東京へ迫ってきた。ウルトラバーリアでこの大津波をはじき返したウルトラマンであったが、エネルギーが残り少なく、戦い続けることはできなかった。

歌にある「天と地の怒り」を何としても回避したいMATであったが、自衛隊の攻撃に怒ったシーゴラスはシーモンスと「天と地の怒り=大竜巻」をおこし、東京は壊滅状態になってしまう。MATは新兵器レーザーガンSP70でシーゴラスの角を破壊し、竜巻発生を防ぐことに成功。

夫婦怪獣に占領され壊滅状態の東京を救うため、ウルトラマンは最後の戦いを挑む・・・。


★★★★★★★★★★★★

《ウルトラマンがウルトラバーリアで津波をはねかえす》
聞き手;
「このアクションがカッコイイですよね」

きくち氏;
「ウルトラマン一人の見せ場ですから、気合が入りました。こういうシーンはひとり芝居ですから役者冥利に尽きるという反面、ウケないことは許されないんですから怖いです。シーゴラスの角で上空に突き上げられるカットを、トランポリンを使ってやりました。これも今まで無かったカットで、良かったですね」

聞き手;
「竜巻の特撮もすごかったですね。現場が気合入れてやってるわけですよね。こんなとき主役としては、じっと待ちながら見てるわけですか?」

きくち氏;
「いや、まだスーツを着てませんからね。進行状態を見てます」

聞き手;
「帰ってきたウルトラマンは、ヤラレタ怪獣の姿が痛々しいですね」

きくち氏;
「怪獣のやられた目にシエン化酸をいうのを落とすんです。すると煙が出て、いい感じになる。これが臭いんですよ。目にしみるし」

《戦いのさなか、ウルトラマンがコケる》
聞き手;
「今コケましたね」

きくち氏;
「こけたね。失敗だね。『いい、大丈夫』なんて言われてね。『編集でやる、編集でやるから』って(笑)」

聞き手;
「編集で何とかするって言われて、なんともなってなかったこともありましたか?」

きくち氏;
「ありましたけどね、それに対する文句は言えませんね。映画はあくまで監督のものなんです。僕らは、料理の素材みたいなもんです。素材がマズかったら、いくら料理人(監督)がうまくてもどうにもならない。素材がマズイのを、料理で誤魔化してくれとは言えませんよね。我々はとにかく、一生懸命やるだけなんです」

◆◆◆怪獣役者;遠矢孝信氏の証言◆◆◆
シーゴラス・シーモンスの時の監督の冨田さんは、隊長役の塚本信夫さんとかいろいろな俳優さんの動きをみてから、カット割りしておられました。

ですから撮影時間が凄くかかって、現場が大分終わるのが遅くなって、文句を言うスタッフが多かったです。でも面白いことに、そんな監督だと案外いいものができるんです。現場で粘る監督は、30分番組では喜ばれない。でもそういう時でも熱意が伝われば、スタッフが協力していいものができるんですね。


★★★★★★★★★★★★
確か過去のウルトラシリーズで、複数怪獣が出てきた回では、兄弟または夫婦の関係にある怪獣同士が出たことは一度も無いと記憶する。このシーモンス、シーゴラスが初めてのつながりがある怪獣同士の共演になると思う。

大概は敵対関係にある。ミイラ怪人とドドンゴの関係は、いったい何だろう?師弟関係か?少なくとも兄弟ではあるまい。後になって、兄弟怪獣は出てくる。レッドギラスとブラックギラスは双子怪獣。ガロンとリットルは兄弟怪獣。だが夫婦怪獣は、このシーモンス・シーゴラスしか記憶に無い。

もっとも、ウルトラマン80以降と平成ウルトラシリーズの内容は分からないので、その辺に登場しているかもしれないが。貴重な存在である。西イリアン諸島に住む夫婦怪獣という設定であった。


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