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ウルトラQ(13) [ウルトラQ・ドラマ]

今回は、第17話『1/8計画』を取り上げます。
監修;円谷英二
脚本;金城哲夫
特殊技術;有川貞昌
監督;円谷 一


◆昭和41年現在、世界第一位の人口密度を持つ日本。このままでは近い将来、食料や住居が不足する恐れがある。そこで国は、増え続ける人口の抑制政策の一環として、東京23区内にモデル地区を用意したのである・・・。

万城目淳と戸川一平、江戸川由利子の三人は、天気も良いのでドライブに出かけていた。渋谷区役所前を通ったとき、ある看板に目が留まり、突然車を停めた万城目淳。看板には「1/8計画 第三次募集中」と書かれていた。

興味を持った由利子は、車を降りてちょっと見に行ってみることにした。役所内を歩いて回る由利子は、人だかりができている場所を見つけたので近づいてみると、そこが「1/8計画課、S13地区受付係」であることがわかった。

係員に説明を受けているたくさんの人達の様子を由利子は観察しながら、耳に入ってくる会話を聞いて、色々と考えをめぐらしてみた。

労務者風の男性が、係員に質問をしていた。
『このモデル地区では、働かんでも食っていけるのかね?』
『はい、国が保障しておりますから・・・』

老齢の夫婦は・・・
『年寄でも、引き取ってもらえるだろうか?』
『歓迎いたします』

『主人は、盆栽が趣味なんですが・・・』
『分かりました。あとでお届けいたしましょう』

新婚の夫婦は・・・
『結婚したばかりで、住む家がないものでお願いに来ました・・・』
『ご安心ください。そういう方のために計画された政策です』

『あの、赤ちゃんは・・・』
『何人でも結構です。お産の費用は無料です』

苦学生は・・・
『国民の三大義務が許されるそうですが、このモデル地区の住民になったら、毎日何をして暮らせばいいんですか?』
『何でも好きなことをしてください。絵を描くとか小説を書くとか・・・』

様々な会話を耳にしながら、人間を今の大きさの1/8に縮小してしまうというこの計画が、由利子には非人道的に思えてならない。係員が由利子に話かけてきた。

『これは一種の人口対策です。人間が1/8になれば、スペースが何十倍にも使えるわけですからね。人間だけでなく、町も道路も家もすべてが1/8ですから、生活は今までと全然変わりません。いかがです、1/8計画に協力していただけませんか・・・』

由利子は、自分はむしろ大きくなりたい方だと言って拒否した。だが、今まで係員の説明を受けていた人々の集団が由利子を押すようにやって来て、由利子を一緒に巻き込んだまま、S13地区専用エレベーターに乗せられてしまうのだった。

一方、淳と一平は戻ってくるのがあまりに遅い由利子を探すため、役所へと入っていった。そしてS13地区へ行くためのエレベーターに乗ったことを、1/8計画課の係員から知らされるのだった。

正規の手続きを経ずに1/8縮小マシンによって縮小されてしまった由利子は、気が付くとベッドの上で寝かされていた。自分でも知らないうちに、由利子はS13地区の人間になってしまっていた。

『おめでとう。私は、あなたがこれからずっと住むことになるS13地区の区長だよ』
『私達は、民生委員です。困ったことがあったら、何でも相談に乗りますからね』

目覚めた由利子に、区長と民生委員の女性二名が挨拶に来ていた。
『淳ちゃんや一平君は、どこにいるの?』
『あなたは、新しい社会の一員になったのだから、昔のことはもう忘れなければいけません』

蝶ネクタイの区長と民生委員たちは、追々わかってくるからと、にこやかに笑っていた。胸に付けた札を指して、「これは何?」と聞く由利子。

『市民番号、つまりあなたの名前です。ここでは、名前はすべて数字で呼ばれるのです。だから、同じ名前は全く無いわけです』
『103924。まるで電話番号みたい・・・』

由利子のカメラと鉛筆を持って来た看護婦。
『区長さん。私のカメラと鉛筆、なぜこんなに大きくなったんですか?』

『カメラと鉛筆は、元のままです。あなた自身が小さくなったんです』
『えっ!』

自分の置かれた状況がよく理解できぬまま区長と話をする由利子を、巨大な警官と係官が上から見下ろしていた。
『P103924。不法侵入により、逮捕する』

区長が彼等に質問をすると、正式なルートを踏まずにS13 地区に入りこんだことが分かったため、由利子を逮捕しにきたのだと言う。

『間違えて、エレベーターに乗ってしまったんです』
『法律は法律だから、君の身柄を出入管理局の拘置所に留置する』

そう言って、巨大な箱が用意され、その中に入るよう促される由利子。普通の人間にとってみれば20センチ四方の箱だが、1/8に縮小された由利子にしてみれば、それは見たことも無い巨大な箱であった。中を開けると、イスが3つある。

由利子は民生委員に促されて、その箱の中へ入った。区長が安心するようにと、由利子をなだめてくれた。
『心配はいらないよ。すぐに向かえに行くからね』

箱に入れられたままの由利子は、普通サイズの人間が入る留置場へ連れて来られ、鉄柵を開けるとその中に箱のまま入れられた。そこで手続きが済むまで、留置されるのだ。その留置場には、太っちょ男性がひとりでイビキをかいて寝ていた。

由利子が入っている箱を食べ物と勘違いした男性は、箱をあけて小さな由利子を見て驚く。男性はとても身体が大きかったために縮小マシンに入らず、大きなマシンが出来上がるまでここで留置されて待っているのだった。

由利子は、縮小されてしまった自分の事を淳と一平に知らせるため、ここを脱出して星川航空へ行こうと考えた。由利子は男性に懇願して願いを聞き届けてもらい、男性のサスペンダーで由利子の箱を吊り下げると、窓の格子の隙間からゆっくりと下ろしてあげるのだった。

箱はコロコロと転がって川に落ち、流れに任せて流れていった。川の水が箱の隙間から入って来たが、由利子はイスにしがみつきながら必死に耐えるしかなかった。

やがて、橋のたもとで遊ぶ学校帰りの小学生たちによって、由利子の箱は拾われた。箱は、それを拾ってワイワイ騒ぐ小学生たちの手から、たまたまそこを通りかかった2人の修道女の手に渡った。

箱の横に書かれた「S13地区委員会」の文字をみた修道女たちは、その箱が1/8計画に関係があると思ったからだ。タクシーに乗ってS13地区へ向かおうとする修道女たちに、由利子は声を出して懇願した。

箱を開けた修道女たちは、小さな由利子の懸命な姿を見て、その願いを叶えるために星川航空へ向かうのだった。由利子は、親友の二人ならば、小さくなってしまった自分でも受け入れてくれるだろうと思い、必死にここまでやって来たのだ。

しかし、部屋の中にあったのは、黒いリボンのかかった巨大な由利子の写真だった。由利子は死亡したことになっていた。由利子のことを思う一平は、もらってきた風船を由利子にあげるのに、などと由利子の写真に向かい気遣う言葉を投げかけていた。

だが淳は、由利子のことを思い出すから写真を捨ててしまえ、と冷たく言い放つのだった。一平はもらってきたたくさんの風船を由利子の箱にくくりつけながら、「先輩の本当の気持ちはちがうよ」と、由利子の写真に話かけていた。

一平は箱を眺めて、ふと淳に訊ねた。
『先輩、S13 地区委員会って、なんすか?』
『さぁ、聞いたこと無いなぁ』

仕事の電話が入って、すぐに部屋を飛び出していく淳と一平。由利子は、淳の気持ちと由利子を思う一平の気持ちが解った気がして、写真立ての横にあった巨大なメモ用紙に巨大な鉛筆を使って、「さようなら ゆりこ」と書き置きして出ていくのだった。

一平がくくりつけた風船が上昇していき、風に乗って由利子の箱をS13地区へと運んでいく・・・

今日もまた道路が渋滞していた。ひっきりなしに、人の流れが絶えない町並み。高層ビルの陰から、いきなり巨大な万城目淳と戸川一平が出現した。ここはS13地区だった。あの書き置きを見た淳と一平は、由利子がここで生きていることを知ったのだ。

『ゆりちゃーん!』

小さな警察官が出てきて、ふたりにを注意した。
『もしもし、困りますよ!あなたたちは、ここへは入れないんですよ。すぐに出ていってください!』
『申し訳ない。人を探しているもので。見つけたら、すぐに出ていきますから・・・』

高速道路をまたいで、大声で由利子を探す淳と一平。道路でない所を通って、店の一部を破壊してしまう一平。

『気をつけろ、一平!』
『すみません・・・』

『淳ちゃん!一平君!』
小さくなってしまった由利子を、ようやく見つけ出した二人。由利子を連れて帰ろうとする淳は、由利子の部屋の窓から大きな手のひらを中へ伸ばした。

『由利ちゃん、迎えに来たんだ。さぁ一緒に帰ろう・・・』
『帰って頂戴。私はもうこのまま、ここの住人になるの・・・』

『バカなこというな。一緒に帰って、一の谷博士に相談しよう』
『もういいの。私はあなたたちとは違う人間になってしまったのよ。それに皆親切にしてくれるから・・・心配いらないわ』

巨大な淳と一平が来たことで、この町は大混乱をしていた。オフィスビルの廊下や階段は、たくさんの人達でごったがえしていて、逃げ惑う人々。由利子も自分の部屋から出て、たくさんの人達に揉まれながら廊下と階段を下りていく。

由利子は、階段を下りる時に足を滑らせてしまい、人に揉まれながら意識を失ってしまうのだった・・・
『寝かしておいてやれよ。駅の階段から落ちるなんて、彼女疲れているんだよ』

寝ている由利子に声をかけた一平に、注意する淳。ここは鉄道病院の病室。軽い脳震盪を起こして運び込まれた由利子の病状を見に来た、淳と一平であった。やがて目を覚ました由利子は、ふたりに妙なことを言った。

『あぁ、淳ちゃんも一平君も、小さくなったのね・・・良かったわ!これでもう、さみしくなんてないわ。皆が小さくなれば、結局は同じことだったんですものね・・・ほんとに良かったわ』

窓の外の景色を眺めながら、顔がほころぶ由利子を見て、淳は一平に、医者を呼んでくるように小声で耳打ちするのだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
イースター島のモアイ像や世界各地に点在する巨大遺跡、そして有名なナスカの地上絵。巨人であればこれらは簡単に作れるし、描ける。人類は元々、巨人であったに違いないと筆者は思っている。



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