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帰ってきたウルトラマン(7) [新マン・ドラマ]

今回は、第21話 《怪獣チャンネル》を取りあげます。

    脚本;市川森一
    音楽;冬木 透
怪獣デザイン;熊谷 健
  特殊技術;高野宏一
    監督;筧 正典

【電波怪獣 ビーコン】登場


▼午前4時。就寝中のミカコちゃんはトイレに行くために目が覚めた。途中、リビングでつけっ放しのテレビを見つけて消そうとテレビの前に立ったとき、それまでザーザーと音を立てて映っていた画面の砂嵐が、突然旅客機の映像に替わったのだった。

『あっ、映った・・・』
どの放送局も、放送開始までには時間がある。これは放送局の放送では無い。同じ頃、MATの南隊員から電話で起こされた郷。

『郷か、早くテレビをつけて見ろ!』
『こんな時間にやってないでしょう・・・』

南に急かされた郷がテレビをつけてみると、確かに旅客機が飛んでいる映像が映し出されているのだった。どこのチャンネルを回しても、みんな同じ映像だった。その直後、旅客機は正面から映し出されて、画面のすぐ下から出た光りによって撃墜されてしまうのだった。

午前5時。MAT隊員全員に非常招集がかかった。
『その映像は、ちょうど獲物を狙う生き物の様にゆっくりと旅客機に近づくと、映像の下から怪光線が発射されて、旅客機は墜落してしまいました』

南隊員は自分が見たままに報告し、郷も同様に報告した。加藤隊長は、二人が映像を見ていた午前4時ごろに東シナ海上空を飛行していた日本の民間機が、原因不明の爆発を起こして墜落した事を告げるのであった。

『すると、我々は爆発のテレビ中継を見たんですか?!』
東京都下だけでも、100件を超える家庭が同じ映像を見ていたことが、丘隊員から報告された。

『おそらく、東シナ海上空から発射された強力な電波を通信衛星が自動的に中継して、世界中に流したらしい』

一体何者が、どんな方法で、6000メートル上空からテレビカメラで旅客機を中継したのか?
『それを突き止めるのが、我々の任務だ!』

早速、マットアロー1号で郷と上野が東シナ海へ飛んだ。そこでふたりは、空中を浮遊する謎の怪獣を発見する。驚いたことにその怪獣は電波をすべて吸収してしまうため、ふたりは本部への連絡が出来ないのであった。

緑色の巨体に付いた顔には、まるで信号のような赤い目玉と黄色い鼻が付いていた。アローが撮った航空写真を分析して、怪獣の正体が判ってきた。これはビーコンと呼ばれる電離層にすむ宇宙怪獣で、空中の電波を吸収する特性を持っている。電波を食う怪獣なのである。

ビーコンは電波を食って、それを独自の電波を発信するという機能があるらしい。つまり、ビーコンの身体全体がテレビ局と同じなのである。東京上空は、電波があふれている。ビーコンが次に狙うのは、東京だろう。

『言っておくが、ヘマをするんじゃないぞ。我々の戦いは、ビーコンのカメラアイによって、世界中に中継されてしまう恐れがあるからだ』

ツトムは免許を取ったアマチュア無線でアメリカの友人と交信をしていたが、急に電波が切れてしまい、仕方なくテレビでも見ることにした。

だが、昼のテレビ権は母にあった。お昼のメロドラマを観ていたツトムの母は、突然画面に割って入ってきた旅客機の映像に、横にいた息子のツトムがチャンネルを回したからだと勘違いして怒った。

ツトムは自分では無いと言っているうちに、映像は旅客機の墜落事故を映すのであった。やがてテレビの画面には、マットアロー1号が映る。南と岸田の乗ったマットアロー1号が、北極海上空でビーコンと遭遇したのであった。

攻撃を開始したその様子は、ビーコンのカメラアイを通して、世界中に中継されてしまう。
『あっ、マットアローだ。カッコイイ!』

ツトムと母はマットアローが飛行している様子をしばらく観ていたが、やがて何かに攻撃されてアローの機体が被弾し、煙を出しながら飛ぶマットアロー1号を観て、ツトムはガッカリしてしまう。
『弱いなぁ、MATは・・・』

ガッカリするツトムと、見たくも無い映像を見せられていたツトムの母。だが再びメロドラマに切り替わったテレビ。だが肝心な場面が終わっていたため、ふてくされてしまうツトムの母だった。

MAT本部では、必死にアロー1号と連絡を取ろうとしていたのだが、電波をビーコンに食われてしまい、連絡を取ることができなかった。勝手にビーコンに攻撃を加えて負け戦になったMATの映像は、全世界に放映されてしまった。

レーダーも無線もコンピュータも使えずにビーコンと戦うことは、絶対的に不利だった。郷は加藤隊長に、ビーコンを海上に誘いだすための作戦を進言するのだった。

『東京中の電波を封鎖したのち、マットアローだけが電波を流しながら海上を飛びます。ヤツはそれに必ず食らいついてきます。海上に誘いだしたら、ミサイルで仕留めます』

午後5時。東京中のあらゆる電波が発信を止めた。そして南隊員を乗せたマットアロー2号だけが高周波を出しながら太平洋へ向かって飛び立っていった。アローと本部の通信が切れた時が、ビーコンが電波に食らいついた証拠だ。

この通信が切れたら、ミサイルを搭載したマットアローが基地を飛び立つことになっている。だが、通信はなかなか途切れなかった。おかしいと思って調査していると、江戸川区から別の高周波が流れていることが判明した。それはツトムのアマチュア無線だった。

ツトムは最近アマチュア無線の免許を取ったばかりなので、アメリカの少年と交信したかったのだ。怪獣ビーコンは、悪いことにこのアマチュア無線電波に食らいついてしまった。

太平洋へ向かっていたアロー2号は直ちに戻る様に指示がだされ、江戸川区のアマチュア無線の電波源を特定するために、郷は背中に探知機を背負っていた。

ビーコンは、都内で唯一電波を出しているツトムの家に向かって突進して来た。ビーコンに乗っかられて壊れかけたツトムの家に入り、潰されかけていたツトムを助けると、母といっしょに外へ逃がした。

だが、そのあと郷は木材の下敷きになってしまう。そのとき、「ウルトラマンの光」が郷を変身へ導いた。ビーコンを両手で持ちあげて、出現したウルトラマン。夕暮れ時、浮遊するビーコン対ウルトラマンの対決がはじまる。

信号のような赤い目から出すビーコン破壊光線と、ウルトラマンのスペシウム光線が空中でぶつかり、激しく火花を散らす。

ウルトラマンは浮遊するビーコンに向かい、ウルトラブレスレットを光輪のように投げた。それを顔面に受けたビーコンは、ドドーンと地面に落下して夕陽の中で絶命した。夕陽を背に飛び去るウルトラマン。

午前4時。ミカコちゃんは、トイレに行く途中でリビングに寄ってテレビをつけてみる。だが、テレビ画面にはザーザーとうるさい砂嵐しか映らない。だって、ビーコンはウルトラマンに退治されちゃったからね!

「やっぱり映らないかぁ」と言う顔をしてテレビを消すと、そっとリビングを出ていくミカコちゃんだった。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
この回の導入部(ミカコちゃんの話)は、市川森一氏がかつてウルトラセブンの「ひとりぼっちの地球人」でやった、覗いてはいけないものを覗いたために事件に巻き込まれるパターンと、同じだろう。



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