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ウルトラマンエース(18) [ウルトラマンA・ドラマ2]

今回は第48話 『ベロクロンの復讐』を取り上げます。

脚本;市川森一  
特殊技術;田渕吉男
監督;菊池昭康
ナレーター;岸田 森

〖ミサイル超獣 ベロクロン二世〗 登場


◆北斗は、タックスペースに乗って宇宙パトロールに出ていた。前方からやって来る流星群を発見し、緊急事態を本部へ知らせようとするが、本部からの反応が無い。よくよく見ると、それは流星群ではなくシャボン玉であることが判り、笑って謝りの通信を入れる北斗星司。

だが、そのシャボン玉の内の1個が巨大化して、中からベロクロン二世が出現する。北斗はエースに変身して戦うのだが、ベロクロンの口から吐きだしたミサイルがエースに当たり、エースは左の奥歯が痛み出すのだった。

左ほおを手で押さえながら、ベロクロン二世と必死で戦うエース。
『恨めしや、ウルトラマンAよ!たとえこの身が地獄へ落ちようとも、ヤプールの恨み晴らすまでは、幾たびとも蘇らずにはおくものか!復讐しろ、ベロクロン!』

あざ笑う女ヤプールの声が聞こえる中で、エースは歯の痛みをこらえながら、必死にベロクロン二世と戦っていた・・・。

ふと気が付くと、北斗はタックスペースに乗って宇宙パトロールをしていた。助手席で眠っていたらしく、汗だくであった。操縦しているのは山中隊員で、山中によれば、北斗は夢でうなされていたらしい。

『ベロクロンの夢を見てました・・・』
先輩として数々の超獣と戦ってきた山中隊員にとっても、ミサイル超獣ベロクロンは強敵として記憶に残っているという。だが、北斗にとっては、生涯忘れることが出来ない超獣なのである。

北斗はベロクロンによって命を奪われ、ウルトラマンAの命を得てよみがえり、今がある。北斗は、「ベロクロンが復讐に来た」という夢の内容を、山中に告げた。山中は、冗談交じりにこう言うのだ。
『(宇宙から見て)見ろ、もうすぐ日本は夜明けだ。明け方の夢は正夢になるというぞ』

二人は笑い合って、この冗談交じりの話が気に入っていた様子だった。北斗には、ひとつ気になることがあった。左の奥歯がさっきから痛いのだ。どうやら虫歯のようだが、今まで虫歯になったことなど一度も無かった北斗だった。

宇宙パトロールから戻ってきた北斗に、定時のB地区パトロール勤務が待っていた。TACの仕事は激務であった。他の隊員達と虫歯の話で盛り上がっていたところに、隊長命令の声が飛ぶ。早速タックパンサーで出発する北斗。

話を聞いた竜隊長は、パトロール中の北斗に虫歯の治療許可を出すのだった。
『北斗より本部へ。Q歯科医院というのがあったので、そこで治療します』

古いビルであった。エレベータで登って行き暗い廊下を歩いていくと、Q歯科医院の扉をノックした。
『どうぞ・・・』
扉の向こうは、窓から明るい光が射していた。真っ白な部屋の真ん中に、イスが一つだけある。

『歯が痛むんですか?』
カーテンの向こうから出てきた女医は、抑揚の無い言い方でそのように訊いた。北斗は、美人の女医さんに少々喜びを隠せない。

『そこへおかけになって・・・』
『口を開けて・・・』
『痛みを止める薬を詰めておきましょう』

北斗の歯に何か詰め物をした女医。銀色に輝く何かが見えた北斗は、何気なく今の治療内容について女医に尋ねた。
『先生、今のは?』

『痛み止めの薬を詰めて、その上をカプセルで覆っておきました。すぐ痛みは止まるはずです・・・』
北斗は礼を言って、Q歯科医院を後にした。タックパンサーに乗り、B地区のパトロールを再開した途端、痛みは止まったものの、何か視界がおかしいのだ。

ゆらゆらと陽炎のように視界が揺れている。北斗は車と止めて、外へ出てみた。すると、前方のビルの影から、突如ベロクロンが出現した。
『北斗より本部へ、B地区にベロクロン出現!直ちに出動願います!』

驚いたのは、山中隊員だった。北斗の見た夢が正夢になったのか・・・。
『ベロクロンが!?』

竜隊長はレーダー反応を美川隊員に尋ねたが、何もキャッチされてはいない。竜隊長もう一度、北斗に様子を確認させた。
『今ボクの目の前で暴れてるんです!』

北斗はそう言って、ビルの向こうに見えるベロクロンにタックガンを発射した。北斗の目には、ビルの谷間に暴れるベロクロンが見えていた。

B地区の様子を映しだすTACのモニターには、ベロクロンなど映ってはいなかった。そのうちに、北斗隊員がタックガンを乱射しているという通報が、警視庁から入った。

北斗は超獣が出現するとやるように、通行人に避難を呼びかけならが、超獣に向かってタックガンを連射していた。
『早く逃げろ!逃げるんだ・・・』

だが、普通の人が見ると、何もいない空に向かってタックガンを連射している北斗隊員にしか、見えなかった。気が付くと、北斗の周囲を警視庁の機動隊十数人が盾を持って取り囲み、拡声器を持って北斗に叫んでいた。

『北斗隊員。大人しく銃を捨てなさい・・・』
『君達には、あのミサイル超獣が見えないのか!』

竜隊長達が現場に到着し、ベロクロンなどいないことを北斗に説得して、その場は収まった。もしもタックガンの乱射で人身事故でも起こしていたら、北斗はもうおしまいである。しばらくの間、北斗に謹慎を云いつける竜隊長。

帰投後に行った北斗の精神鑑定は正常であること、山中が聞いた宇宙パトロール中でのベロクロンの夢の話、そして歯痛のこと。北斗の回りに起こったことを、聞き取り調査する竜隊長。

そこで竜隊長は、北斗が歯痛を治療するために、B地区にあるQ歯科医院に寄ったことを思い出した。そこでQ歯科医院に問い合わせて、北斗の態度に異常が無かったか調査するよう、今野隊員に指示した。

ところが、B地区にQ歯科医院は1件も無いことが判明する。そんな時、超獣ベロクロンの出現を告げる緊急連絡が、TACに入った。

その頃、謹慎中の北斗は、自分の行動がどこでおかしくなってしまったのかを論理的に思考していき、B地区のQ歯科医院で治療を受けた後からであることに気付く。

タックパンサーでQ歯科医院を目指す途中、北斗の目にベロクロンの姿が映った。だが、あれは幻覚だと自分に言い聞かせる北斗は、車を降りてベロクロンに向かってゆっくりと歩いていく。だが、ベロクロンが口を開けて放ったミサイルが付近に着弾して、北斗は爆風で吹き飛ばされてしまう。

通報を受けて出撃したTACは、ベロクロン一世の録画テープから口の中のミサイルを誘爆させれば勝てると、ロケット弾を口の中に撃ち込む作戦を立てて、タックアロー2機で出撃していく。

だが、ベロクロン二世は口内に撃ち込まれたロケット弾を、くわえたまま吐き出してしまう。逆に鼻先のツノから出す破壊光線で、2機のアローは撃墜されてしまうのだった。

爆風で吹き飛ばされたショックで、歯に埋め込まれた幻覚を見せるカプセルが外れ、北斗は正常な状態に戻る。だが、北斗を踏みつぶそうと狙うベロクロン二世の巨大な足が、すぐそこまで迫っていた。必死で逃げながら、北斗はウルトラマンAに変身する。

あらゆる物体を溶かしてしまうベロクロン液を、体内の毒袋から泡状にしてブクブクと吐き出すベロクロン二世の攻撃に、エースは苦しむ。

しかしエースは、ベロクロンの鼻先に生えた2本のツノをへし折ると、2本のツノをベロクロンの腹部に突き刺し、腹部が爆発を起こしてとどめを刺されてしまうのだった。

北斗は、武器を携帯してQ歯科医院へ向かった。女医の正体を暴くためであった。
『ベロクロンそっくりの超獣を操りオレの命を狙うからには、ヤプールの生き残りにちがいない!』

女医の顔は目と口元が吊りあがり、いつの間にか、白い着物を着た般若の形相であった。
『これで勝負が着いたと思ったら大間違いだよ。お前は勝った。勝った者は生き残り、負けた者は地獄へ落ちる。

勝った者は常に負けた者の恨みと怨念を背負って、生き続けてゆくのだ。それが戦って生き残っていく者の定めだ。よく覚えておくがいい・・・』

逃げようとする女ヤプールに北斗の銃弾が炸裂し、悲鳴と共に女ヤプールは消滅した。女ヤプールの消滅と同時に、Q歯科医院の真っ白な内装は、長いこと使われずに薄汚れた倉庫へと変貌していた。 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
突然ボクシングの格好をしたり、相撲の四股を踏んだり、わけのわからぬ行動をするウルトラマンA。何なんだこれは?

ウルトラマンAのメインライターに抜擢された市川森一氏は、ある理由からAに対する情熱を失い、第14話を最後にメインライターを降りてしまう。エースも終盤が近くなり、メインライターの責任として最終回は書くべきだという橋本プロデューサーからの助言により、最終回と、その前に一本書いたシナリオが、このベロクロン編である。

なお、残念なことに着ぐるみの出来は、第一話のベロクロンと比べると各段によくない。新マンの最終回で登場した「ゼットン二世」と初代マンの「ゼットン」を比べて、いかがなものか?と思うような出来具合の差が、「ベロクロン二世」と「ベロクロン」の間にもある。



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