SSブログ

マグマ大使(9-2) [マグマ大使・ドラマ3]

今回は、第46話『怨霊怪獣海坊主対マグマ大使』を取りあげます。 

 原作:手塚治虫 
 音楽;山本直純
 脚本;石堂淑朗
 特撮演出;堺 武夫
 特撮美術;入江義夫
 特殊造形;照井 栄
 監督;船床定男・菊地 奛

〖怨霊怪獣 海坊主〗登場

【前回までの話は・・・
日光にだけ出現する謎の怪獣・海坊主。若者が乗る車を襲い、破壊した後すぐに姿を消すという不可解な行動に、村上達はゴアの送りこんだ怪獣では無いと考える。はたして正体は何者なのか?取材のため日光へ飛んだ木田は現地でマモル達と合流し、いろは坂にさしかかった所で車を襲う海坊主に遭遇した。マモルはマグマ大使を呼んだ・・・】


◆アースに言われ、海坊主を見るために日光へ来ていたマモルとガムに現地で会った木田は、いろは坂を上って行く途中で海坊主と遭遇した。マグマ大使と戦う海坊主の姿をカメラに収めた木田だったが、そのフィルムをすぐ本社へ送った所、何も写っていなかったという。

危険を顧みずに撮った海坊主の姿が写ってない。これはどういうことなのだろうか。
『木田さんの腕が、悪いんじゃないの?』

ガムがいたずらっぽく、笑いながら言う。だが腕は悪くても、被写体である海坊主をカメラのレンズは確かに捕らえていた。カメラのレンズは精密機器だ。腕が悪くても、何かしら写っていなくてはおかしい。人間の目もカメラのレンズと原理は同じだ。

なのに、どうして人間の目には見えて、レンズを通したら写らないのだろうか。三人が意見をぶつけ合った結論は、こうだ。
「あの海坊主は人間の目には写るが、カメラのレンズを通すと写らない」

まさに妖怪かお化けだ。巨大化した海坊主が、いろは坂にまた出現した。車をつかんでは投げて、破壊を繰り返す。ゴアは、この海坊主を自分の味方に引き入れたいと思った。力で押さえこめば、逃げ込んでいく先に海坊主をあやつる者がいるはずだと、ゴアはにらむ。

ゴアは円盤でいろは坂に現れると、海坊主に徹底してレーザー光線で攻撃した。海坊主はゴアの円盤に反撃出来ず、いろは坂での破壊活動を止めて逃げて行くのだった。巨大な体を人間大まで小さくした海坊主は、いろは坂有料道路を逃走していく。料金所を通って逃げる海坊主を、係員が目撃していた。

ゴアは、逃げる海坊主のあとを追跡した。海坊主は、二荒山神社の中へ逃げ込んでいく。幽霊のように扉を素通りして行き、二荒山神社の宮司・原田伍助の部屋へ逃げ込む海坊主。部屋の中では、ひとり原田伍助が考え込んでいるかのように、じーっとしていた。

音もなく部屋に入ってきた海坊主は、伍助の横にくると幽霊のようにスーッと消えた。海坊主の逃げ込んだ先を、特定することに成功したゴア。伍助は突然目を覚ますと、叫んだ。
『ゴアのヤツに邪魔された!折角いろは坂で、人間どもを捻りつぶしてやったのに!』

かに星雲からの異常電磁波を人間が呼び寄せ、その人間の心と相まって海坊主を作り出しているに違いないと、アースはマグマたちに告げた。人間の愛は偉大だが、その愛が一旦憎しみに変わると大変なことが起こり得るというのだ。

アースは、ゴアがその悪い心を利用しようとしていることを看破した。マグマ大使は、海坊主を作った人間の心を改心させればいいのではと言うが、本人が目覚めない限りは難しいと、アースは答えるのだった。

海坊主が逃げ込んだ付近には、かに星雲の超電磁波が充満していることが調査で判り、部下がゴアに報告した。しかも、孫を交通事故で無くし悲嘆にくれる老宮司が住んでいることも、報告された。

『では、その老人が何かのはずみでカニ星雲の超電磁波を呼び寄せ、あの海坊主を作ったというわけだな!』
ゴアもアースと同様に、海坊主の正体に肉薄していたのだった。

宮司の伍助は、孫の太郎を交通事故で死なせた車の運転手や、世間の車すべてが憎いという気持ちで、心が満ち溢れていた。伍助は、自分の夢が現実の事故となって報道されていることに、気付きだしていた。

『ワシが夢の中で車や飛行機をやっつけると、同じことが実際に起こっている。今日もいろは坂で大事故があった。その時ワシは、夢の中でいろは坂にいた・・・』
伍助が自分の夢と実際の事故との関連を考えている時、笑い声と共に伍助の前に現れたゴア。

目の前のゴアに驚く伍助。
『お前がゴアか!人類を滅ぼそうとするゴアか!』

『人類を皆殺しにしたいと思っているのは、老人、あんたもおなじではないのか?事故で死んだ孫の運命を呪うあまり、人類の滅亡を願って海坊主を作り出したではないか!』

伍助の持つ悪い心とカニ星雲の超電磁波が合力して海坊主を生み出していることを、ゴアは伍助に説明してやった。
『老人、この俺さまと手を結ぶことにせんか?』
『お前と手を結ぶ?』

ゴアも伍助も、人類せん滅という同じ目的を持つ。その二人が手を結べば、無敵であることを力説するのだった。海坊主を作り出しているのが伍助自身であることにまだ気付かない伍助に、ゴアは心の中で人類への憎しみを強く抱くよう勧める。

すると、伍助の横に真っ白な海坊主がすーっと出現した。伍助は驚きの表情で問いかけた。
『お前は・・・ワシの憎しみの姿なのか・・・』

木田、マモル、ガムの三人は、村上から連絡を受けて、海坊主がいろは坂有料道路を走り抜けて、二荒山神社の方へ逃げて行ったという目撃情報を聞きつけていた。三人が二荒山神社の付近を歩いている時に、ゴアの電波を感じると言うガム。

不思議に思いながらも、三人は二荒山神社へ行ってみることに・・・そこで三人は、宮司の伍助とゴアが対話している様子を目撃する。ゴアの目の前で、伍助が海坊主を生み出すところを目撃し、「とても信じられない」という気持ちで逃げだしてくる三人。

人類を滅亡させたい気持ちが強い伍助は、ゴアに協力することを申し出るのだった。見られたことを察知したゴアは、三人の後を追いかけてくる。ゴア、伍助、そして人間大の海坊主が、木田たち三人に迫まる。

マモルはマグマ大使を呼んだ。すぐにジェット音がして、マグマがやって来た。
『海坊主、ゴアに味方したとあらば、容赦はせぬ。さぁ来い!』

海坊主は巨大化して、マグマと対峙した。いろは坂での決戦!マグマが海坊主を持ちあげて放り投げると、投げられた海坊主は姿を消してしまう。変幻自在な海坊主に、マグマは手こずる。マグマが海坊主の首を絞めにかかると、伍平が苦しみ出した。

海坊主の苦しみは、伍平の苦しみなのだ。弱り出し逃げていく海坊主に、マグマのミサイル攻撃が命中した。伍平は気を失って倒れ、海坊主はみるみる小さくなり、爆発して果ててしまう。
『マグマは、一人の人間を殺したのだ!何が地球の守り神だ、人殺し!』

ゴアは捨て台詞を吐いて、消えていった。だがマグマ大使が殺したのは、この老人の悪い心だ。マグマ大使のツノから再生光線が伍平に浴びせられ、伍平は意識を取り戻す。のど元を苦しそうにさすりながら、優しい顔になる原田伍助。マグマ大使は、一人の人間の心を救ったのだった。   (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ウルトラセブンでは、予算が無くて宇宙人が出ないストーリーを書くことになったという市川森一氏の話は有名だが、今回のマグマもそんな話の一つではないか。着ぐるみには予算がかかってないように思う。『マグマ大使』は、着ぐるみよりもミニチュアの方にお金がかかるみたいなので(笑)


スポンサーリンク



nice!(21)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 21

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。