マグマ大使(8-1) [マグマ大使・ドラマ3]
今回は、第43話『マグネット怪獣ジギラ現わる!』を取りあげます。
原作:手塚治虫
音楽;山本直純
脚本;内山順一朗
特撮演出;堺 武夫
特撮美術;入江義夫
特殊造形;開米栄三
監督;船床定男
〖マグネット怪獣ジギラ〗登場
◆植物怪獣バルザスを倒されたゴアは、今円盤に乗って地球からどんどん遠ざかっていくのだった。だが、決して地球征服をあきらめたわけではない。新たな宇宙怪獣たちに号令をかけるため、本拠地ゴアラ遊星を目指していた。
スクランブル隊本部でも、ゴアの円盤が地球から遠ざかって行く様子をレーダーが捉えていた。スクランブル隊は、ゴアの円盤に反射鏡を定着させることに成功していた。
そこで電波をゴアの円盤に当ててその反射を測定することで、その位置を特定することが出来るようになったのだ。レーダーでそれを追跡していくことで、ゴアの行き先が解る仕組みであった。
だが、ゴアが地球にいない間、地球に何も起きないわけでは無かった。ゴアはガベルという名の時限爆弾を仕掛けていったのである。ガベルは、手下の人間モドキのひとりである。
ゴアはこのガベルを使って、美術館にゴアの作品を陳列したのであった。美術館に警報ベルが鳴り、警備員からの連絡を受けた村上たちは、館内に「ゴア」と書かれた白い天使の形をした彫刻像を見つけるのであった。
村上、木田、マモルにガムが見ている前で、その彫刻に貼られた「ゴア」の張り紙が剝がれ、「マグネット怪獣ジギラ」に変わった。すると彫刻の口から白い霧が吐き出された。危険を感じた4人は美術館の外へ脱出する。しばらくすると、美術館から巨大な怪獣ジギラが出現した。
典型的な二足歩行恐竜型怪獣ジギラは、頭部に3本のツノを持つ。鼻の頭に1本、そして後頭部から前方に向かい湾曲した大きな2本のツノである。美術館を徹底的に破壊したジギラに、ガムは熱線砲を発射して対抗した。だが小さな身体のガムが発射する熱線砲では、ジギラには効き目があまりなかった。
今度はジギラがガムに向かって、目に見えない何かを放射した。するとガムは、自分の身体がジギラに引き寄せられていくのが分かった。必死に踏ん張ってみるのだが、ガムの身体は重力に逆らうように引っ張れられて、あっという間にジギラの右側のツノの先端に吸い付いてしまった。
ロケット人間の身体は、金属で出来ている。マグネット怪獣ジギラの磁力線によって、磁石が鉄を引きつけるように吸い寄せられてしまったガム。マモルは、驚いて笛でマグマ大使を呼んだ。飛んできたマグマは、ジギラの回りを旋回しながら、ツノの先端にくっついているガムを見て驚く。
『おとうさーん!』
『あ、ガム!』
突然、ジギラは磁力線を出すのを止めたため、吸い付いていたツノから真っ逆さまに落ちて、地面に激突するガム。人間型に変化したマグマは地面に落ちたガムを見て、腹部からロケット砲を発射した。
マグマの腹部を飛び出したロケット弾は、弾道を変えてジギラのツノに吸い付いてしまう。金属製のロケット弾は、ジギラの強力な磁力の前には無力であった。
張り付いたロケット弾を付けたまま、ジギラはどこかへ去って行く。マグマは深追いしなかった。ガムのことが心配であった。
『ガム、この仇はきっとワタシがとってやるぞ!』
火山島へ戻ったマグマとガム。ガムはアースの身体検査をうけたが、異常は認められなかった。その頃ゴアの円盤は、地球から遠く離れた宇宙の果てにあるゴアの本拠地・ゴアラ遊星に到着していた。アースでさえ探すことができないゴアラ遊星。
地球へ置いてきたガベルが、ゴアへ連絡をしてきた。
『ゴア様、マモルが吹いたマグマの笛を、コッソリ録音いたしました』
『でかしたぞ。よし、これは面白いことになるぞ!』
地球では、ジギラが水力発電所を破壊していた。咆哮をあげて発電所を破壊するジギラ。
『ピロピロピー、ピロピロピー、ピロピロピー』
『あれ?お母さん、マモルがまたお父さんを呼んでいるよ?』
『ホント、変ね』
ガムはモルに、疑問を投げかけた。アースがやって来た。
『どうしたのじゃ?』
『笛が、またお父さんを呼んでいるんです』
『おかしいな。マグマはさっき呼ばれて行ったはずじゃが・・・』
マグマへの2回目の笛に対し、ガムが出撃した。2回目の笛は、マモルの家から聞こえてくる。
『なんだ、ガムか・・・』
『お父さん、君の所へ来なかった?』
『来ないから待っているんだよ。ジギラが暴れ出したんだ』
『やっぱり、お父さんに何かあったんだ!』
その頃マグマ大使は、伊豆大島付近を右往左往していた。
『なぜマモル君が、こんな所にいるのだろう?』
マグマが降り立った海岸の岩場の上にはテープレコーダが置いてあり、テープが回って笛の音を出していた。別の方向からも、笛の音が聞こえてくる。ロケットに変身して、急いで笛の鳴る方角へ飛んで行くマグマ。今度は墓地のどこかから聞こえてくる。
『マモル君!』
またしてもテープレコーダが置いてあり、その近くには「マグマ大使の墓」と描かれた墓石が立っていた。すべてガベルのしわざであった。
『またしても、謀られたか!』
ニセの笛に翻弄され、怒りに燃えるマグマ大使。マグマ大使が行方不明になっているため、発電所を襲ったジギラに対し、スクランブル隊の総攻撃が始まった。
だが、ジギラが出す磁力線によって、スクランブル隊の銃がすべて吸い上げられてしまう。武器が無くては、ジギラを攻撃できない。スクランブル隊はなす術が無かった。
火山島へ戻ったマグマは、今までの経緯をアースに報告した。するとアースは、マグマに訊ねた。
『それでお前は、腹を立てたのか?』
『アース様。怒らない方が、どうかしているでしょう』
『それはいかん。お前は冷静さを欠いて、本物と偽物を聞き分けることが出来なかったのじゃ。そんなことで、人類を救えると思うのか?』
『アース様。ついカーッとなってしまって。反省します』
若さゆえの短気さを指摘するアースは、最後に「短気は失っても若さは失うな」と、笑っていた。
スクランブル隊によって、ゴアの円盤をレーダーで追跡できたため、ゴアの居所がゴアラ遊星であることが突き止められた。電波写真技術によって、ゴアラ遊星にいるゴアの円盤を撮影することに成功した海老名隊長は、その技術を誇る。
だが、ゴアラ遊星を攻撃する手段が無い。スクランブル隊には密かに開発したコバルト爆弾があるのだが、ゴアラ遊星まで運ぶロケットが開発されていないのだ。
だが、マモルと村上は顔を合わせて笑い合う。コバルト爆弾をゴアラ遊星まで運ぶ手段がある!と。マモルはマグマ大使を呼ぶために、笛を3回吹いた。マグマは一瞬考え込むが、冷静なマグマには、それがマモルの吹く正義の笛であることが分かり、ガムを連れて火山島を出撃していくのだった。 (つづく)
★★★★★★★★★★★★
マグネット怪獣ジギラは、ちょうど3本ヅノのアーストロンという雰囲気のカッコイイ怪獣だ。後頭部から2本の大きなツノ、鼻の上に小さなツノが1本。なかなかのデザインである。
特撮美術の入江義夫氏の作品。日本の特撮映画専門の美術デザイナーで造形家。マグマ大使第2話の怪獣「モグネス」から、入江氏が怪獣デザインを手がけている。残念なことに、2013年にお亡くなりになられた。
ご冥福をお祈りいたします(合掌)
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原作:手塚治虫
音楽;山本直純
脚本;内山順一朗
特撮演出;堺 武夫
特撮美術;入江義夫
特殊造形;開米栄三
監督;船床定男
〖マグネット怪獣ジギラ〗登場
◆植物怪獣バルザスを倒されたゴアは、今円盤に乗って地球からどんどん遠ざかっていくのだった。だが、決して地球征服をあきらめたわけではない。新たな宇宙怪獣たちに号令をかけるため、本拠地ゴアラ遊星を目指していた。
スクランブル隊本部でも、ゴアの円盤が地球から遠ざかって行く様子をレーダーが捉えていた。スクランブル隊は、ゴアの円盤に反射鏡を定着させることに成功していた。
そこで電波をゴアの円盤に当ててその反射を測定することで、その位置を特定することが出来るようになったのだ。レーダーでそれを追跡していくことで、ゴアの行き先が解る仕組みであった。
だが、ゴアが地球にいない間、地球に何も起きないわけでは無かった。ゴアはガベルという名の時限爆弾を仕掛けていったのである。ガベルは、手下の人間モドキのひとりである。
ゴアはこのガベルを使って、美術館にゴアの作品を陳列したのであった。美術館に警報ベルが鳴り、警備員からの連絡を受けた村上たちは、館内に「ゴア」と書かれた白い天使の形をした彫刻像を見つけるのであった。
村上、木田、マモルにガムが見ている前で、その彫刻に貼られた「ゴア」の張り紙が剝がれ、「マグネット怪獣ジギラ」に変わった。すると彫刻の口から白い霧が吐き出された。危険を感じた4人は美術館の外へ脱出する。しばらくすると、美術館から巨大な怪獣ジギラが出現した。
典型的な二足歩行恐竜型怪獣ジギラは、頭部に3本のツノを持つ。鼻の頭に1本、そして後頭部から前方に向かい湾曲した大きな2本のツノである。美術館を徹底的に破壊したジギラに、ガムは熱線砲を発射して対抗した。だが小さな身体のガムが発射する熱線砲では、ジギラには効き目があまりなかった。
今度はジギラがガムに向かって、目に見えない何かを放射した。するとガムは、自分の身体がジギラに引き寄せられていくのが分かった。必死に踏ん張ってみるのだが、ガムの身体は重力に逆らうように引っ張れられて、あっという間にジギラの右側のツノの先端に吸い付いてしまった。
ロケット人間の身体は、金属で出来ている。マグネット怪獣ジギラの磁力線によって、磁石が鉄を引きつけるように吸い寄せられてしまったガム。マモルは、驚いて笛でマグマ大使を呼んだ。飛んできたマグマは、ジギラの回りを旋回しながら、ツノの先端にくっついているガムを見て驚く。
『おとうさーん!』
『あ、ガム!』
突然、ジギラは磁力線を出すのを止めたため、吸い付いていたツノから真っ逆さまに落ちて、地面に激突するガム。人間型に変化したマグマは地面に落ちたガムを見て、腹部からロケット砲を発射した。
マグマの腹部を飛び出したロケット弾は、弾道を変えてジギラのツノに吸い付いてしまう。金属製のロケット弾は、ジギラの強力な磁力の前には無力であった。
張り付いたロケット弾を付けたまま、ジギラはどこかへ去って行く。マグマは深追いしなかった。ガムのことが心配であった。
『ガム、この仇はきっとワタシがとってやるぞ!』
火山島へ戻ったマグマとガム。ガムはアースの身体検査をうけたが、異常は認められなかった。その頃ゴアの円盤は、地球から遠く離れた宇宙の果てにあるゴアの本拠地・ゴアラ遊星に到着していた。アースでさえ探すことができないゴアラ遊星。
地球へ置いてきたガベルが、ゴアへ連絡をしてきた。
『ゴア様、マモルが吹いたマグマの笛を、コッソリ録音いたしました』
『でかしたぞ。よし、これは面白いことになるぞ!』
地球では、ジギラが水力発電所を破壊していた。咆哮をあげて発電所を破壊するジギラ。
『ピロピロピー、ピロピロピー、ピロピロピー』
『あれ?お母さん、マモルがまたお父さんを呼んでいるよ?』
『ホント、変ね』
ガムはモルに、疑問を投げかけた。アースがやって来た。
『どうしたのじゃ?』
『笛が、またお父さんを呼んでいるんです』
『おかしいな。マグマはさっき呼ばれて行ったはずじゃが・・・』
マグマへの2回目の笛に対し、ガムが出撃した。2回目の笛は、マモルの家から聞こえてくる。
『なんだ、ガムか・・・』
『お父さん、君の所へ来なかった?』
『来ないから待っているんだよ。ジギラが暴れ出したんだ』
『やっぱり、お父さんに何かあったんだ!』
その頃マグマ大使は、伊豆大島付近を右往左往していた。
『なぜマモル君が、こんな所にいるのだろう?』
マグマが降り立った海岸の岩場の上にはテープレコーダが置いてあり、テープが回って笛の音を出していた。別の方向からも、笛の音が聞こえてくる。ロケットに変身して、急いで笛の鳴る方角へ飛んで行くマグマ。今度は墓地のどこかから聞こえてくる。
『マモル君!』
またしてもテープレコーダが置いてあり、その近くには「マグマ大使の墓」と描かれた墓石が立っていた。すべてガベルのしわざであった。
『またしても、謀られたか!』
ニセの笛に翻弄され、怒りに燃えるマグマ大使。マグマ大使が行方不明になっているため、発電所を襲ったジギラに対し、スクランブル隊の総攻撃が始まった。
だが、ジギラが出す磁力線によって、スクランブル隊の銃がすべて吸い上げられてしまう。武器が無くては、ジギラを攻撃できない。スクランブル隊はなす術が無かった。
火山島へ戻ったマグマは、今までの経緯をアースに報告した。するとアースは、マグマに訊ねた。
『それでお前は、腹を立てたのか?』
『アース様。怒らない方が、どうかしているでしょう』
『それはいかん。お前は冷静さを欠いて、本物と偽物を聞き分けることが出来なかったのじゃ。そんなことで、人類を救えると思うのか?』
『アース様。ついカーッとなってしまって。反省します』
若さゆえの短気さを指摘するアースは、最後に「短気は失っても若さは失うな」と、笑っていた。
スクランブル隊によって、ゴアの円盤をレーダーで追跡できたため、ゴアの居所がゴアラ遊星であることが突き止められた。電波写真技術によって、ゴアラ遊星にいるゴアの円盤を撮影することに成功した海老名隊長は、その技術を誇る。
だが、ゴアラ遊星を攻撃する手段が無い。スクランブル隊には密かに開発したコバルト爆弾があるのだが、ゴアラ遊星まで運ぶロケットが開発されていないのだ。
だが、マモルと村上は顔を合わせて笑い合う。コバルト爆弾をゴアラ遊星まで運ぶ手段がある!と。マモルはマグマ大使を呼ぶために、笛を3回吹いた。マグマは一瞬考え込むが、冷静なマグマには、それがマモルの吹く正義の笛であることが分かり、ガムを連れて火山島を出撃していくのだった。 (つづく)
★★★★★★★★★★★★
マグネット怪獣ジギラは、ちょうど3本ヅノのアーストロンという雰囲気のカッコイイ怪獣だ。後頭部から2本の大きなツノ、鼻の上に小さなツノが1本。なかなかのデザインである。
特撮美術の入江義夫氏の作品。日本の特撮映画専門の美術デザイナーで造形家。マグマ大使第2話の怪獣「モグネス」から、入江氏が怪獣デザインを手がけている。残念なことに、2013年にお亡くなりになられた。
ご冥福をお祈りいたします(合掌)
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レインボーゴブリンズさん おはようございます。
マグマ大使、懐かしいです。
調べてみると1965年5月号~1967年8月号なので51年前でした。鉄腕アトムと同じ手塚治虫さんなのですね。
by SORI (2016-05-27 10:20)