SSブログ

『ウルトラマン』が帰ってくる!/第二期ウルトラ怪獣偏  ~形態学的怪獣論28 [怪獣論・怪獣学D]

それは一つの事件だった。『ウルトラセブン』終了後、スポ根ドラマや妖怪ブームのさ中に旧作の再放送などで復活の兆しを見せ始めた怪獣ブーム。公害問題を背景に『ゴジラ』の復活が決定、ついで新年早々から『スペクトルマン(宇宙猿人ゴリ)』の放送開始が報じられ、そして遂に真打とも言うべき円谷プロの登場。

しかも第一回のメガホンを取ったのは、あの巨匠本多猪四郎監督であった!『Q』『マン』『セブン』の洗礼を受けた者にとって、第一話の冒頭、怪獣ザザーンにガッカリ、すぐに消えてしまったタッコングにアングリ、そしてアーストロンに至ってようやく「これこれ」とヒザを打つ有様だ。

ゴジラの様な風体に三角形の小さな顔、大きな眼球にひきしまった口元は、まさに正統派の美男子といった風貌だ。加えて頭頂部には、あのゴメスの後継者を誇示するかのような見事な一本角。まさに第一話にふさわしい大怪獣と言えよう。

デザイナーの池谷仙克氏によれば、最初から「ゴジラのような怪獣を」という指定があったそうで、ご本人はあまり気乗りせず力が入らなかったデザインであるという。造型物も、現場で腹部の改造が行われたり、腕が思うように動かなかったりと、必ずしも順調ではなかったようだ。

だが「ウルトラ怪獣」を久しく待望していたファンにとっては、アーストロンは渇きを癒すのに十分な傑作であり、新マン(帰マン)怪獣全体を通じても、一方の雄であることは間違いない。連続登場したタッコングは、ユニークさという点で早くも頂点に立つ名獣だった。

『セブン』のダンカンのシルエットを踏襲しながらさらにデフォルメを強調し、球体から突き出た手足というコンセプトを提示して、その後の怪獣デザインに大いなる道を拓いた。

モチーフとしてのタコは誰の目にも明らかだが、単なるタコの変形に留まらずにタコの吸盤を展開させることで、純然たるオリジナルデザインにまで昇華せしめている。造型物もデザインの意匠をよく活かし、ネズミのような愛嬌のある顔を付けるなど、なかなかの力作である。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
『帰ってきたウルトラマン』が放送されるというネタを仕入れたのは、確か、「週刊テレビガイド」という雑誌を目にしてであったと思う。巻頭カラーでこの話題を載せていたような記憶がある。当時小学生の筆者は、親にねだって買ってもらったように思う。今でも弟とよく話すのは、その雑誌に載っていた「新マンの着ぐるみを腰から上だけ脱いで、ゆで卵を食べているきくち英一氏」の写真だ。

実はゆで卵ではなく、奥さん手作りのニンニクの醤油漬けだと思われるが、紙質の悪さに加え白黒写真なので、当時はハッキリ見えなかったのだ。ご本人の著書『ウルトラマン・ダンディ』の中にそのことが書かれており、ようやく納得した次第である。



スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。