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メロンがヒントになったノンマルト ~形態学的怪獣論18 [怪獣論・怪獣学C]

制作費縮小のため、フック星人と亡霊のようなゴース星人は、首から下が類似している。タイツのような黒い上下があって、首からかぶるエプロンのようにビニルをかぶっている。この模様の違いで差別化をしているが、この模様はテープを貼っただけだそうである。

ペロリンガ星人に改造される前のピニアはNGとなった脚本だが、デザイン画は残っており、NGとなったのが惜しまれるほどユニークな魚の貌(かお)を持っていた。ペロリンガ星人の顔は、魚のカワハギを思わせる。

ノンマルトの顔の表面に浮かびあがる血管のような模様は、高価なメロンのスジがヒントだそうである。滅びゆく先住民の悲哀が漂う傑作だが、これを完璧に立体化した高山氏製作のマスクも見事である。高山造型に対する池谷氏の信頼は絶大で、毎回シナリオも第一稿から送ってイメージの疎通を図っていたという。ノンマルトは、その理想的な連携プレイの象徴だといえよう。

シリーズの最後を飾る強敵パンドンは、デザイン画では燃え上がるマグマのような激しさが伝わってくる力作だ。熊が岳の火口の奥から出現するにふさわしい相当な迫力を具えているが、高山氏が製作した着ぐるみは何故か現場で改造され、あの串カツのような体表をもつ姿になった。その経緯は池谷氏にも不明だという。

「鳥の顔を持つ双頭怪獣」という点は共通ながら、ずいぶんとイメージが異なることに驚く。もし当初のデザイン画のままのパンドン(頭部が割れてふたつの顔があり、各々にくちばしが付いているデザイン)が出てきたら、あの感動的な最終回もまた違った盛りあがりを見せたかもしれない。

怪獣達に託された鎮魂の想いは、そのまま満身創痍で去りゆくウルトラセブンへの鎮魂と重なった。黄金の第一期ウルトラシリーズの終焉を見送ったデザイナーが池谷氏であったことは、シリーズにとっても、視聴者にとっても、幸運であったのではないだろうか。(おわり)


★★★★★★★★★★★★
どんなにデザイン画がよく出来ても、そのイメージのまま着ぐるみにすることは、難しいのだと思う。だが、造型の神様・高山良策氏の腕は素晴らしい、の一言に尽きる。池谷氏に言わせると、「高山さんの怪獣は、出来上がって対面した時に、これは!っという驚きがある」のだという。デザイン画を見て、デザイナーの思惑をそのまま感じ取ることが、高山氏にはできたのだろう。

この高山造型技術を引き継ぐような造型師が、どんどん出現してほしい。そういう造型師がいて、素晴らしいデザイナーがいて、そうして製作された怪獣モノの作品を、これからも観ることができるような日本であって欲しい。そのためには、平和であることの尊さをよく理解し、絶対に戦争をしない国にしていかなければならないと思う。



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