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宇宙人が連れてきた宇宙怪獣たち4 ~形態学的怪獣論14 [怪獣論・怪獣学C]

四脚の決定版は、ギラドラスのあとに現れた。シャドー星人が操る獅子の頭を持つ芋虫怪獣ガブラは、まさしく四脚の正統な伝承者である。

芋虫の体節のように几帳面に分割された尾などは斬新だが、長く伸びた前脚や全身のメタリックカラーはゴルドン(初代ウルトラマンに登場した怪獣)の流れを継ぎ、いまひとつ個性には乏しい。

その分、顔には工夫が凝らされている。たてがみを持つ頭部はライオンのアレンジと思われるが、目を鼻先に持ってくるという大胆な処理で、一種異様な雰囲気をかもしだしている。

相対的に強調された口の裂け目や、頭蓋骨のデフォルメのような金属光沢の額部に加え、劇中で切断された首が空中を舞ってセブンを襲うシーンなどは、どこか妖怪じみた趣(おもむき)がこの怪獣ガブラには漂っている。

従来の成田デザインとは、微妙な肌触りの違いを感じる作品である。成田氏が新たな美学、新たな抽象を目指していたかどうかは知る由もないが、この時「ウルトラセブン」はすでに23話。それから数話後に成田氏は円谷プロを去っていくのである。

それは、「特殊美術の黄金時代」に少しずつ翳りが見え始めた時期とも重なる。昭和41年『ウルトラQ』によって襲来した熱波のごとき怪獣ブームは、確実に曲がり角を迎えていた。時代は静かに変わりつつあったのだった。 (おわり)


★★★★★★★★★★★★
怪獣ガブラは、『明日を捜せ』の中で登場する怪獣である。筆者がセブン全49話中で一番好きな回である。キリヤマ隊長にスポットを当てた回なのである。占い師の安井が宇宙人に狙われているからと助けを求めているのに、気にはなりなりながらも、決定的な証拠が無いために組織の長の立場から救えなかった。だから個人に戻って(休暇を取って)彼を助けに行くという話だ。

ところで、キリヤマ隊長は名前をカオルというそうだ。全49話の中で、隊長が「カオル」という名前を呼ばれるシーンがあっただろうか? 筆者は記憶にないのだが。フルハシ隊員は感動編の第24話の中で、北海道から上京してきた母に、「シゲル」と呼びかけられるシーンがあるのは、ご存じのとおりだ。



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