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宇宙人が連れてきた宇宙怪獣たち2 ~形態学的怪獣論12 [怪獣論・怪獣学C]

放映開始直前の媒体(雑誌など)では、エレキングは終生のライバル・カプセル怪獣ミクラスと常にセットで紹介されていた。ミクラスは、あらゆる点でエレキングをみごとに補完した。白に対するこげ茶、洗練に対する泥臭さ、光線に対する腕力、スマートさに対する量感、そして侵略者に対する正義の使者。

シルエットとしては、縦長の二等辺三角形のエレキングに対して、ミクラスは半円形という斬新さである。(対峙する2匹を横から見たときに、姿を図形化するとそんなイメージになるということらしい)あるいはミクラスは、最初からエレキングとの対比を際立たせるためにデザインされたのかもしれない。

伝統的な二脚直立型から首と肩の境界を排除し、思い切ってうちわのように背面を盛り上げた。これはアメリカバッファローの盛り上がった肩にヒントを得たのではないか。弓のようなツノの形状もウシの仲間に通じるものがある。

大胆な鼻と唇が印象的な顔はインカの神面がヒントだそうだが、全身の紋様やツノの彩色はアメリカインディアンを思わせる。ゴツゴツした肌触り、ひじやひざが判然としないほど太い手足は、まさに野生を具現化した迫力の塊だ。

エレキングが長大なしっぽをミクラスに巻き付けてぐいぐいと締め上げれば、これをむんずとつかんだミクラスは力に任せてエレキングを放り投げる。ゆれる大地、なぎ倒される大木。

むしろセブンとの戦い以上に鮮烈な印象を残す両雄の激突で、エレキングは一層その個性を輝かせることができたと言える。バッファローかトーテムポールか独特なシルエットのミクラスは、三角形のエレキングに続き、逆三角形のガンダーとも戦うのである。

老衰による種族絶滅を回避するために、地球人の若い生命を奪いに来た宇宙人の守護竜は、看護師(ナース)という絶妙な名前を持っていた。だがそれ以上に驚いたのは、優れた彫刻のごとき顔面の造型であった。

竜をモチーフとしながら、これほど単純化した面で構成された顔面をもつ宇宙竜。黄金竜の先輩キングギドラの影響を微塵も感じさせない強烈な個性。

えぐられたようなくぼみに光る赤い二つの瞳、開閉する機械そのものの下あごも、角柱の断面をもつ首の輪も、すべて円盤ロボットという画期的な設定を鮮やかに表現している。 (つづく)


★★★★★★★★★★★★
筆者の中のナンバー・1怪獣であるエレキング。その美しい姿の秘密は、造形家の高山良作氏の腕にあると思っている。成田亨氏にはたいへん失礼であると承知の上で言うが、デザイン画の決定稿はそれほどカッコイイとか美しいと言えるものには見えないように筆者は思う。

それをあんなにも美しく、素晴らしいものにしてくれたのは、着ぐるみの作製・造形を行った高山良作氏のセンスのおかげだと思っている。同じ怪獣を造っても、材料や技術が違えば、少し違ったものができてしまうことは、ある程度仕方がないことだと思う。だが一番大きく影響されるのは、腕とかセンスといったものだと筆者は思っている。

誤解無いよう言っておくが、違ってできるということが悪いと言っているのではない。それをどう思うかは、個人の好き嫌いの範疇だからである。

宇宙竜ナースは操演怪獣である。ビラ星人やポール星人などいくつか出てくるが、一番インパクトのある操演怪獣である。ヘビのようにとぐろを巻いて円盤に変形し、相手をかく乱するという設定は意表をついているが、如何せん、当時考えられる技術をフルに使っても、それをうまく表現できたとは言い難いのが残念である。



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