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宮内洋、ヒーロー一本道(3) ~大人の集団『秘密戦隊ゴレンジャー』その2 [宮内洋・1]

(前回からつづき)
リーダーではないのに、隊長では無いのに頑張ってしまう。いや、だからやったのかもしれない。そのときもまた、新命明ではなく、完全に宮内洋になっていた。スケジュールが取れなくなってしまった時もあって、そんな時はほとんどアフレコだけの参加となってしまった。

元の台本では『青い~』のアオレンジャー編になっていても、宮内氏が出られないので、急きょ『緑の~』に変え、ミドレンジャー活躍編に変えてしまったこともあった。

ここで面白いエピソードを披露しておこう。鳥取県ロケーションでのこと。飛行機で移動なので、前もって事務所が用意してくれたチケットで、羽田空港から乗り込んだ。『鳥取空港から15分程度でホテルに着きますから、直接タクシーで入ってください。

ホテルの玄関で、制作の方が待っていて下さいます』と事務所から言われていたので、鳥取に着いてからタクシーに乗った。『皆生グランドホテルへ行ってください』と言ってのまま乗っていると、15分のはずが45分も過ぎてしまった。

『あのう運転手さん、あとどのくらいかかりますか?』と聞くと、『あと30分程です』との答え。事務所は15分と言ったけど、聞き違えたのかなと思い、そのまま乗り続けた。その頃、ホテルの制作と事務所との電話のやりとり。

事務所;
『確かに今から乗りますという電話が入りましたから、間違いなく乗っていると思います』 

制作側;
『ホテルに着く時間をもう1時間も過ぎているのに、まだなんです。飛行機が落ちたというニュースも、流れてませんしね』 

約1時間10分かかってホテルに着くと、みんなが出て来て『何かあったの?』とてんやわんやの大騒ぎ。当の宮内氏は、『何事ですか?皆さん』と、ケロッとした顔。このからくりはというと、鳥取県の空港は、鳥取空港と米子空港の二つがあったのだ。

そして羽田空港発、鳥取空港行きと米子空港行きが偶然にも同時刻発だった。鳥取ロケと聞いた事務所は鳥取空港行きのチケットを取ったが、実際は米子空港行きでなければいけなかったという訳だ。これはお騒がせエピソードとして、宮内氏の記憶によーく残っているそうだ。

この時のロケーションがたいへんだった。バリドリーンが海に落ち、気を失っている新命明というシチュエーションで、鳥取大砂丘でロケーション。台本には『大砂丘の海辺で漂流している新命明が、やっとのことでたどり着いた大砂丘。でもそこには、右も左も何もない。

懸命に歩きだす』とだけ書かれていた。ところが、前日から降り続いた大雪で一面真っ白の銀世界。しかし撮影は中止されず、大雪原の中での撮影となった。新命明は、黒のズボンに赤のワイシャツ。しかも、いつも第3ボタンまで開けているという胸元を見せている衣装だ。

ゆえに、防寒用のウエットスーツが着用出来ない。真冬の日本海で、薄着のまま銀世界をさまよう芝居をするはめとなった。撮り終わって、すぐに近くの小屋の風呂へ直行。

すると、『すぐお湯に入るんじゃないぞ。まず水道水からかぶり、それからぬるま湯にしていき、そうしておいて風呂に入るように』と声がかかる。心臓麻痺を防ぐためとはいえ、このときも死ぬ思いをしたと宮内氏。街ではジングルベルが聞こえてくる12月24日の出来事だった。

『秘密戦隊ゴレンジャー』のオープンニングタイトルでの話。タイトルを観ると判るように、新命明は雪の中を転げ回りながらアクションをしている。撮影中の第一カットで高さ30センチ程の所から下に飛んだら、そこにはびっしりと霜が降りていたのだ。

それが着地と同時にグシャッと潰れて、地面から30センチ程もぐってしまった。この落差のおかげで、捻挫をしてしまったのだ。それでオープニングでは、雪の中の転がりアクションになってしまった訳である。

バリブルーンやバリドリーンのような様々なスーパーメカを使いこなすのが『ゴレンジャー』の魅力だが、もちろんバイクによるアクションシーンも登場する。バイクといえば、V3ではナナハンのバイクに乗っていた。これはスピードが出てくると安定感が増し、だからこそ走りながら変身ポーズが取れるのだ。

一方のアオレンジャーが乗るのは、サイドカー付のバイク。V3は変身するとハリケーンというスーパーバイクになるが、こちらはアオレンジャーでも新命明でもバイクは変わらない。そこで何か特別な乗り方を考えた結果、マスターしたのがサイドカーを地面から上げての走り方だ。

これが画面に映ると実にカッコイイ。ヘルメットの時は、テンガロンハットを背中に背負うのが宮内流のポーズ。そのポーズともピタリとはまった走り方だった。

『秘密戦隊ゴレンジャー』のアクションは、当初は大野剣友会が担当していたが、途中からJAC(ジャパン・アクション・クラブ)の担当に変わった。大野剣友会は刀をもつ剣技を得意としていたので、アクションに重量感があった。ゴレンジャーが見栄をきるアクションなどは、最高だった。

一方のJACは、器械体操のようなテンポンの速いアクションを得意としていた。トランポリンを使ったりクルッととんぼ返りしながらのアクションなどは、見せ場を作ってくれた。両者の持ち味を上手く取り入れたアクションチームが編成できれば、最高に面白いアクションシーンが撮れるのにと、宮内氏は当時、強く思っていたという。

『元祖・集団ヒーロー』であるゴレンジャーは大人の集団だったと、宮内氏は振り返って思う。ある日、アイススケートを使ってのロケーションのため、早朝から富士急ハイランドへ行くことになった。

それでアオの宮内氏はキーを連れて中央高速道路を走っていたら、スピード違反の検問に引っかかってしまった。調書を取る所へ行くと、先にアカが捕まっているではないか!数分後にはミドとモモもやってきて、ゴレンジャー勢ぞろいってなもんだ。5人はよく食事に行ったし、呑みにも行った。

孤立しないように、日頃も協力し合って行動を共にした。ゴレンジャーは、まさに大人の集団、団結の集団だった。すでに実績ある役者を集めたこの作品は、余計な軋轢の無い幸せな作品だったと宮内氏は振り返る。大人の集まり、ゴレンジャー・バンザイ! そして張り切りボーイの新命明よ、いつまでも! (終わり)


★★★★★★★★★★★★
先日ネットサーフィンしていたら、ご苦労されている2代目キレンジャーのだるま二朗さんを、元ゴレンジャーメンバーたちが励ましにいくというバラエティー番組の企画を観た。

みんなそれぞれ事情を抱えていたが、そこはゴレンジャーメンバーだ、何とか時間を作ってだるま二朗さんに会いに来ることが出来た。なんだか涙が出そうになった。ナポリタンが大好きなキレンジャーへ、モモ特製ナポリタンが配られた。他のみんなも一緒に食べた。

仲間っていいなぁって、思った。だるま二朗さん、ご苦労されて大変でしょうけれども、仲間の支えを心に刻んで、まだまだ頑張ってほしいと思います。



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