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ウルトラセブン(2) ~ウルトラセブンを作った男たち [ウルトラセブンこぼれ話]

(前回からのつづき)
今回も引き続き森次晃嗣氏、満田穗監督、高野宏一特技監督(故人)の三人の座談会をお送りします。


森次氏;
「最終回の火山の爆発、あれはすごかったね!あれ、火薬全部使っちゃったの?」

高野監督;
「全部ってわけじゃないけど、派手にいこうっていうんでね」

森次氏;
「ダンとアンヌのとこさ、あれはロケでやろうって言ったんだよね」

満田監督;
「あれはね最初からセットで、銀紙バックであの数カットだけを撮ろうと思ってたの。その前後は夜間ロケで。だからよく言われるのは、ロケでよくあんな処理ができたな、合成ですか?って。合成でも何でもない、パネルに銀紙貼って後ろから叩いて前からライトを当ててるだけ(笑)。

少し望遠ぽいレンズで撮ってもらって、(ふたりの)バックがボケるようにしてるだけなんだよね。ホントに一番お金かかってないんだよね。良い合成ですね、なんて言われるけど(笑)」

森次氏;
「あれ場所はどこだったんですか?」

満田監督;
「ロケはね、操車場かな。JR(ジェイアール)の稲城長沼の貨物の駅があったような気がするの。その近辺だったと思う。資材とか土管なんかもあったりしたね。で、アンヌに白状する場面は、美セン(現・東宝ビルト)で撮ったわけ。銀紙はそこね」

森次氏;
「作戦室さ、あれ可笑しかったよね。監督によってね、決まってないんだよね・・・」

満田監督;
「初期の頃、監督によって解釈が様々で、換気扇かなって思ったら、別の監督はスピーカーに使ってて、そこから宇宙人の声が聞こえてくるんだよね、『地球人に告ぐ!』なんてね(笑)。ええ~って。俺は換気扇のつもりで撮ってたのにって(笑)。

入口の自動ドアの両開きが、最初は助監督ふたりでやってたんだよね、『あけろ!閉めろ!』って。ふたりだから合わなくて、自動ドアの中心がズレるんだもの(笑)。スピードも違ったりとかね(笑) 。そのうち美術が、ひとりで開けられるように直したけど」

森次氏;
「あの、みっちゃん(満田監督)が『フォースゲートオープン、フォースゲートオープン』って言ってる基地の(笑)、あれスゴイよね!」

満田監督;
「あれはクランクイン前で、全体撮影に入る前に、先に撮っちゃうんだよね。二子山がスライドして、中からホーク1号が出てくるシーンとかね」

森次氏;
「ホーク1号が分離するよね。あれは最初からあったわけ?」

満田監督;
「そう、3つに分離するっていうのは、企画の段階からあった」

高野監督;
「今と違ってさ、昔はたいへんだった。3つともバラバラに吊ってあってさ、こっちを引っ張ると上に滑車があってさ、すうーっと上がるようになってて」

森次氏;
「あれ、うまくいってるよねぇ、特撮!分離して、また元のさやに納まるみたいにね、あれ全部ピアノ線でしょ?考えられないよねぇ(笑)」

高野監督;
「ホーク2号あったでしょ、滝から出てくるヤツ」

満田監督;
「えーとね、ホーク3号!」

高野監督;
「そうそう、ホーク3号だ。あれの時だってさ、最初、水でやってダメだろ。当然ダメだよナ。砂でやってダメ、かんすい(中華そばを作る時に小麦粉に混ぜるもの)とかメリケン粉落として粉だらけになったりとか、いろいろやってみた。

それで、寒水砕石(かんすいさいせき)っていうのがあって、それをもっと細かくして落としてやってるの。だからよく見てると、滝の下をくぐる時にガクッと下がるでしょ。あれがリアルだっていうわけ。考えてみれば、そうだよな(笑)」

森次氏;
「そうだよね!」

高野監督;
「まぁ確かに、スタッフがウルトラマンから続いてきていたから気心も知れてたし、こういう物の撮り方をよくわかってたからね。セブンが最初だったら、ああはいかなかっただろうね。もっとギクシャクしてただろうね。(ウルトラマンで)39本ずーっとやってきてるから、お互いに呼吸が合うっていうのは当然あるよね」

満田監督;
「ポインター号のウィングは車検では外して、あと移動する時は外して後ろのシートに乗っけて。で、撮影所でまた付けて撮影してた。あれね、用賀(世田谷区)の辺りの自動車を廃棄する工場があってね、廃棄寸前のやつを買ってきたの。

成田(亨)さんがデザインしたっていうか、周りに部品を付けるんだけど、角ばった感じの方が曲線よりも安いんで、ゴツゴツした感じの部品を外にくっつけたわけ。もう捨てられる車だったから・・・」

森次氏;
「だからロケ行ったらエンストしてね、みんなで坂を押してるんだもの(笑)。だらしがないよね」

満田監督;
「下りはエンジン無しのニュートラルで下りて来るし。それで音楽だけは、カッコイイの入れてるからね(笑)」

高野監督;
「ウルトラマンでは胸の通信機だけだったから、それで今度は絵を入れてみようということでね、ビデオシーバーはね」

満田監督;
「ウルトラセブンは1967年からスタートしたけど、それの25年後の話だからね、電話はダイヤル式でジージーってやってたけど(笑)、ビデオシーバーは時代の先取りをしてたね」



【おまけとして、光学撮影の第一人者、中野 稔氏の話をどうぞ】

「当時は光学撮影と言って、オプチカル・マシンを使う合成撮影技術のことで、例えば基地の地下駐車場にポインター号がたくさん止まっているというシーンで、実際には1台しかないポインター号を、場所を変えて何通りも撮影して、合成した時には数台が並んで止まっているように見せたり(ゴドラ星人の回)、

病院でセブンが小さくなって人間の体内に入っていくというシーンでは、台本段階で撮影アングルをしっかり打ち合わせして、人間の芝居の方も、小さくなって飛んでいくセブンを見せるためのカット割りになっている(ダリーの回)とか、

あと面白い合成シーンエピソードとしては、セブンが小さくなってフルハシ隊員のバズーカ砲(エレクトロHガン)の中から撃ち出されるシーン(クレージーゴンの回)で、飛んでくるカットだけリテイク(録り直し)してるので、バックの景色が前後で比べるとまったく違うんですが、撃ち出されるセブンのインパクトの強さのおかげで、誰も気づかないなんてこともありましたね(笑)。

セブン暗殺計画では、十字架にセブンが閉じ込められるシーンでは、セブンは実写だから奥行あるけど十字架は平面だから奥行が無い。そこで構図的にパーツを付けて奥行きをだすというような工夫をしました。当時は脚本で書かれてあるシーンのことを監督が事前に相談しに来てくれたので、現場に入る前にいろいろアイデアを考えておいて監督にフィードバックするという時間が、非常に大事でしたね」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラセブンの魅力のひとつは、緻密なデザインと特撮技術で見せるウルトラ警備隊の超兵器発進シーンである。筆者はウルトラ警備隊の歌(カラオケ)が大好きで、2コーラスですぐに終わってしまうのがまことに惜しい。これがバックにかかってウルトラホークが発進・活躍するシーンは、何回観てもワクワクする。
スタッフがウルトラマンで出来なかったことをウルトラセブンでやり、さらに新しいことにも挑戦したりと、円谷スタッフみんなのファイトが結集したものがウルトラセブンであり、結果としてこのシリーズの集大成的なものとなった。当時子供だった僕らにとって、この作品に出会えたことは幸せだったと思う。



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