ウルトラセブン(1) ~ウルトラセブンを作った男たち [ウルトラセブンこぼれ話]
円谷作品の初期三部作といえば、ウルトラQ、ウルトラマンそしてウルトラセブンである。いずれも円谷英二監修というお墨付きだったこと、また金城哲夫氏をはじめとするシナリオライター達が、過去に無いシリーズを作るという難作業であるのにしっかりと構成された脚本を書き上げて、いずれも素晴らしい作品であった。
中でも前作、前々作を土台にして、よりよい作品を作ろうとスタッフが頑張っただけあって、ウルトラセブンは集大成的な作品となった。今回はモロボシダン役森次晃嗣氏、満田穗監督、高野宏一特技監督(故人)の三人の座談会をお送りします。
森次氏;
「ウルトラセブンは、ウルトラマンが終わってから企画があったわけですか?」
満田監督;
「続ウルトラマンでも良かったわけだけど、模様替えしようってことになって。(ウルトラマンを)40パーセント超えてる時に止めてるわけだから、このまま終わらせるのはもったいないということで・・・。結果としてウルトラセブンになったわけだけど」
森次氏;
「最初からウルトラアイをかけるということで、企画にあったんですか?」
満田監督;
「企画の段階であった。最初はね、『ウルトラセブン』っていう名前じゃ無かったわけ。『ウルトラアイ』だったの。メガネをかけて、目元から変身していくっていうことで、企画室の連中が『ウルトラアイ』っていうタイトルを考えて、ヒーローの名前も『ウルトラアイ』にしてた」
森次氏;
「あ、それで(頭を指して)ここがアイスラッガーっていうんだね!なんでアイスラッガーなのかなって思ってた(笑)」
満田監督;
「普通ならね、セブンキックとか・・・」
森次氏;
「(アイスラッガーを投げる真似をして)セブンラッガーとかね、言うはずなんだよね(笑)、それなのに・・・」
満田監督;
「なんか、そこだけ残っちゃった・・・(笑)」
森次氏;
「アイを残して、アイスラッガーになっちゃったんだ~」
満田監督;
「それで祖師谷の円谷プロの2階でね、説明会があって。企画室からウルトラセブンの内容の説明があって、その時は『モロボシダンのサクセスドラマ』だったわけ。ポインター号のドライバーに採用されて、コツコツ上がって行って、正隊員になるまでの話だったわけ。これを縦線にしましょうということだったの。
そしたら、主人公の森次晃嗣さんが免許持って無いっていうわけ(笑)。それで『クランクインまでに取ります』なんて言ってたけど(笑)・・・」
森次氏;
「間に合う訳ないよね~、始まったら毎日(撮影)だからね(笑)」
高野監督;
「変身シーンは当時大変だったんだよ。森次ちゃんの顔にマスクを少しずつずらして付けていく作業は、何回もやらなきゃならないから大変だったみたいよ」
森次氏;
「あのシーンはサンゴー(35ミリ)で撮ってるんだよね」
高野監督;
「合成に関してはすべて35ミリで撮らなきゃダメだって。オプチカル(オプチカルプリンター)は16ミリ無いもん」
森次氏;
「『零下140度の対決』っていうタイトルではほとんど雪の中の撮影で、これが全部セットなんだけど」
満田監督;
「撮影に入る前にシナリオの段階から、『ウルトラセブンは寒さに弱いんだ』っていうことをやろうよって希望がシナリオライターからあったもんですから、それも面白くていいねっていうことで。雪の話なんだよっていうことでロケ地を探すことになって、まだ初春だったんだけど、その年に限ってどこへ行っても雪がなくて。
仕様がないんで、ステージの中に雪山を組みましょうということになって。それで発泡スチロールの雪、食塩の雪、検査に落ちたベビーパウダーの雪、そんなのを集めて雪山のセットを作って芝居をしてもらったわけです」
森次氏;
「(凍り付く警備隊基地の廊下を見て)寒い感じが出てますよね。あ、これ金城さん(金城哲夫氏)ですね、金城さんこの回に出てたんだ!」(寒さの為に凍死する隊員役で出演)
高野監督;
「アイスラッガーってさ、最初はビス止めしてあったのよ、(頭部に)作り付けじゃなくて。それでさ、それ飛ばしたら面白かんべってことで投げさせたんだよ。で、投げるところまでは本物で、そのあとはアニメーションで描いてあんの。あんまり光線技ばっかりじゃつまんないからさ、何かないかなって(笑)」
森次氏;
「あれ高野さんが考えたの?(頭から)はずれるから。あと刀みたいな使い方もしたりしたもんね。時代劇っぽいよね(笑)」
満田監督;
「光線はね、当時お金がかかるから制約受けてたんだよね。10カットまでとか」
森次氏;
「光線は、焼き付けて・・」
高野監督;
「あれはアニメーション。言ってみれば、手書きなんだよね。オーバーにいえば、1コマ1コマ」
森次氏;
「ああ、大変なんだ」
「カプセル怪獣は、誰が考えたんですか?」
満田監督;
「あれは企画の段階からあった。ウルトラセブンってものが宇宙からの侵略をテーマにしていたから、怪獣の出番が少ないだろうと考えたわけ。怪獣がいないのも寂しいから、じゃあ、モロボシダンに怪獣を持たせて活躍させればいいじゃないかと、考えたらしいんだよね」
高野監督;
「最初に出たのは、何だっけ?」
森次氏;
「ミクラス。そうそう、エレキングとやるヤツ。カプセルはいくつあるの?」
満田監督;
「結局ね、三匹出てるわけですよ。ところがカプセルはもうひとつあるっていうわけね、ベルトのケースにもう1個あるわけ。あのもう1個は何だ?ってわけね(笑)」
森次氏;
「あれ、よく聞かれるのよ。あれ4つ入ってるって。1個使ってないんだね(笑)」
(つづく)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラセブンには光学撮影が欠かせない。光線技や変身シーンなど、中野稔氏が担当している。いろいろとアイデアを出して素晴らしい映像を作って下さった。以前書いたと思うが、中野氏と光学撮影スタッフ無くしてはウルトラセブンの魅力は半減してしまう。
筆者の好きなSFXはこれ、バドー星人の回。
鏡の中へ手を入れて、鏡の中へ入っていくセブン、それを後から追うアンヌ。セブンが鏡に入っていく後を、アンヌのうしろ姿と正面姿が同時に現れて、いかにもセブンだけ鏡の中に入ったように見せるカット。秀逸!
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中でも前作、前々作を土台にして、よりよい作品を作ろうとスタッフが頑張っただけあって、ウルトラセブンは集大成的な作品となった。今回はモロボシダン役森次晃嗣氏、満田穗監督、高野宏一特技監督(故人)の三人の座談会をお送りします。
森次氏;
「ウルトラセブンは、ウルトラマンが終わってから企画があったわけですか?」
満田監督;
「続ウルトラマンでも良かったわけだけど、模様替えしようってことになって。(ウルトラマンを)40パーセント超えてる時に止めてるわけだから、このまま終わらせるのはもったいないということで・・・。結果としてウルトラセブンになったわけだけど」
森次氏;
「最初からウルトラアイをかけるということで、企画にあったんですか?」
満田監督;
「企画の段階であった。最初はね、『ウルトラセブン』っていう名前じゃ無かったわけ。『ウルトラアイ』だったの。メガネをかけて、目元から変身していくっていうことで、企画室の連中が『ウルトラアイ』っていうタイトルを考えて、ヒーローの名前も『ウルトラアイ』にしてた」
森次氏;
「あ、それで(頭を指して)ここがアイスラッガーっていうんだね!なんでアイスラッガーなのかなって思ってた(笑)」
満田監督;
「普通ならね、セブンキックとか・・・」
森次氏;
「(アイスラッガーを投げる真似をして)セブンラッガーとかね、言うはずなんだよね(笑)、それなのに・・・」
満田監督;
「なんか、そこだけ残っちゃった・・・(笑)」
森次氏;
「アイを残して、アイスラッガーになっちゃったんだ~」
満田監督;
「それで祖師谷の円谷プロの2階でね、説明会があって。企画室からウルトラセブンの内容の説明があって、その時は『モロボシダンのサクセスドラマ』だったわけ。ポインター号のドライバーに採用されて、コツコツ上がって行って、正隊員になるまでの話だったわけ。これを縦線にしましょうということだったの。
そしたら、主人公の森次晃嗣さんが免許持って無いっていうわけ(笑)。それで『クランクインまでに取ります』なんて言ってたけど(笑)・・・」
森次氏;
「間に合う訳ないよね~、始まったら毎日(撮影)だからね(笑)」
高野監督;
「変身シーンは当時大変だったんだよ。森次ちゃんの顔にマスクを少しずつずらして付けていく作業は、何回もやらなきゃならないから大変だったみたいよ」
森次氏;
「あのシーンはサンゴー(35ミリ)で撮ってるんだよね」
高野監督;
「合成に関してはすべて35ミリで撮らなきゃダメだって。オプチカル(オプチカルプリンター)は16ミリ無いもん」
森次氏;
「『零下140度の対決』っていうタイトルではほとんど雪の中の撮影で、これが全部セットなんだけど」
満田監督;
「撮影に入る前にシナリオの段階から、『ウルトラセブンは寒さに弱いんだ』っていうことをやろうよって希望がシナリオライターからあったもんですから、それも面白くていいねっていうことで。雪の話なんだよっていうことでロケ地を探すことになって、まだ初春だったんだけど、その年に限ってどこへ行っても雪がなくて。
仕様がないんで、ステージの中に雪山を組みましょうということになって。それで発泡スチロールの雪、食塩の雪、検査に落ちたベビーパウダーの雪、そんなのを集めて雪山のセットを作って芝居をしてもらったわけです」
森次氏;
「(凍り付く警備隊基地の廊下を見て)寒い感じが出てますよね。あ、これ金城さん(金城哲夫氏)ですね、金城さんこの回に出てたんだ!」(寒さの為に凍死する隊員役で出演)
高野監督;
「アイスラッガーってさ、最初はビス止めしてあったのよ、(頭部に)作り付けじゃなくて。それでさ、それ飛ばしたら面白かんべってことで投げさせたんだよ。で、投げるところまでは本物で、そのあとはアニメーションで描いてあんの。あんまり光線技ばっかりじゃつまんないからさ、何かないかなって(笑)」
森次氏;
「あれ高野さんが考えたの?(頭から)はずれるから。あと刀みたいな使い方もしたりしたもんね。時代劇っぽいよね(笑)」
満田監督;
「光線はね、当時お金がかかるから制約受けてたんだよね。10カットまでとか」
森次氏;
「光線は、焼き付けて・・」
高野監督;
「あれはアニメーション。言ってみれば、手書きなんだよね。オーバーにいえば、1コマ1コマ」
森次氏;
「ああ、大変なんだ」
「カプセル怪獣は、誰が考えたんですか?」
満田監督;
「あれは企画の段階からあった。ウルトラセブンってものが宇宙からの侵略をテーマにしていたから、怪獣の出番が少ないだろうと考えたわけ。怪獣がいないのも寂しいから、じゃあ、モロボシダンに怪獣を持たせて活躍させればいいじゃないかと、考えたらしいんだよね」
高野監督;
「最初に出たのは、何だっけ?」
森次氏;
「ミクラス。そうそう、エレキングとやるヤツ。カプセルはいくつあるの?」
満田監督;
「結局ね、三匹出てるわけですよ。ところがカプセルはもうひとつあるっていうわけね、ベルトのケースにもう1個あるわけ。あのもう1個は何だ?ってわけね(笑)」
森次氏;
「あれ、よく聞かれるのよ。あれ4つ入ってるって。1個使ってないんだね(笑)」
(つづく)
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ウルトラセブンには光学撮影が欠かせない。光線技や変身シーンなど、中野稔氏が担当している。いろいろとアイデアを出して素晴らしい映像を作って下さった。以前書いたと思うが、中野氏と光学撮影スタッフ無くしてはウルトラセブンの魅力は半減してしまう。
筆者の好きなSFXはこれ、バドー星人の回。
鏡の中へ手を入れて、鏡の中へ入っていくセブン、それを後から追うアンヌ。セブンが鏡に入っていく後を、アンヌのうしろ姿と正面姿が同時に現れて、いかにもセブンだけ鏡の中に入ったように見せるカット。秀逸!
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