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平成ライダーシリーズを語る(2) ~昭和ライダーVS平成ライダー、世代を超えた対談 [ライダー座談会]

石ノ森章太郎氏は、かつて言っていた、『仮面ライダーは進化するヒーローだ』と。時代を超えて変わらないモノも変わるモノも、すべてを取り込むことができる世界を持っているのが、仮面ライダーの世界なのだろう。

古いものを踏襲しながら、新しいものを取り込んでいくというのが進化なら、平成ライダーたちはまさに、この道を進んでいっていると言える。これからもいろいろなテイストを持ったライダーが、石ノ森章太郎の意志を受け継ぎ、出現し続けていくだろう。

今回は、V3=風見志郎役の宮内洋氏、ファイズ=乾巧役の半田健人氏を交えた対談をお送りします。


半田氏;
「オーディションに受かって、最初にスタッフと食事会を兼ねて打ち合わせをした時に、『先代のライダーシリーズを見た方がいいんでしょうか?』って監督に聞いたんです。というのは、僕はたまたまですが、子供の頃から特撮系を一切見て来なかったものですから。

そしたら田崎監督から、『見るんだったら、全部終わってからにしてほしい』って言われたんです。その言葉から、『変な先入観なく、まったく新しいものを創りたいんだな』っていう意志は、伝わってきましたね」

聞き手;
「昭和のライダーが持っていた凄さや人気、色んなものを知っている人達(監督・スタッフ)が、昭和のライダーから何を受け継ぎ、何を変えていきたいのかを議論しながら創っていかれたんだろうと思いますが、役者さんは白紙のままで来てほしいと思ったんでしょうね」

半田氏;
「そうですね。どうしてボクが選ばれたのか真相はわからないんですが、その中のひとつに、仮面ライダーというものに対してひどく無頓着だった、知識が無かったということがあるんじゃないかと思うんです。

オーディションの時には、殺陣のうまい方や歴代ライダーにとても詳しい方が横にいらした中で、真っ白な色の付いて無い素材だった僕が、逆によかったのかなと思いました」

A氏;
「田崎さんや長石さんのお話にもあったように、新しいものをどんどん創っていこうということだと思うんです。昭和ライダーというものが、今振り返ると『こういうものだったなぁ』と何となく見えていると思うんです。それをただ追っかけるだけでは、単なる模倣になってしまいますよね。

平成ライダーというものはどういうものかということは、まだ見えてない、暗中模索の最中だと思います。ですから今いろいろなライダーが出てきていて、あと20~30年経ったときに、『平成ライダーとはこういうものなのか』と見えればいいことなんです。だから今は、いろいろなライダーが変幻自在に出て来ていいと思うんです」

聞き手;
「昭和ライダーの存在感が大きくてイメージがあるだけに、平成ライダーをどう創っていくかを、今一生懸命模索しているというところでしょうか」

A氏;
「IT(アイティー・情報技術)の発達とかいろいろなことがあって、番組を見る側の子供たちも、取り巻く環境が当時とは変わっていますよね。当時のものを見せれば、それはそれで楽しく見てくれると思いますが、今のライダーが当時と同じことをやっても、『それはちがう』と言われちゃうと思うんです」

聞き手;
「半田さんは役づくりについて、どうお考えでしたか?」

半田氏;
「最初僕は漠然としたイメージですが、『正義感が強くてみんなに好かれるお兄さん』じゃなきゃいけない、みたいなライダー像・ヒーロー像を描いていたんですが、設定がぶっきらぼうな性格で、セリフが『ああ』とか『それで』とかいう片言が多くて。

すごく難しいっていうのはありましたけど、視聴者に興味を持たせるように、謎めいた感じを出すように意識はしましたけどもね」

聞き手;
「風見志郎の登場の仕方とか、性格の設定とはずいぶん違いますね」

宮内氏;
「(ファイズの乾巧が定食屋に現れる場面を見て)風見志郎は定食屋には行きませんし(笑)、僕自身演じた作品では、ヒーローは物を食わない、武器を持たない、そういったことで僕自身そう考えてきましたから。台本に食事のシーンが書かれていたら、『食うのは勘弁してください』と。

『おれは改造人間なんだ、改造人間がサンマで飯食ってんのは、ちょっと・・・』みたいなことがあるので・・・。まして登場シーンとなると、必ず登場音が先に鳴って、必ず高い所から出てくる(皆、一斉にあ~)。定食屋に出現して、メニューを指差すことはしません(笑)。ヒーローの出方としてどうなのかな?と。考え方がちがうのかなと、思いますね」

半田氏;
「猫舌っていう設定とか女と住んでるとか、これって時代なんですかねぇ。変身の時に携帯を使うんですよね。時代が携帯電話を持っていて当たり前になってきた時期なんですね」

A氏;
「最先端のツールを使っているっていうことですよね」

聞き手;
「自動改札のように、パスをベルトにピッとかざすとか、子供たちに身近な最新のツールが変身の道具に取り込まれていくということもありますね。ところで宮内さんが演じていた頃のストーリーは基本的に一話完結、またがっても二話までで事件が解決していく。

一話内にアクションシーンや見せ場が必ずある。それに対して半田さんの頃になると、一つの話の中で事件が解決しても解き切れない謎が残っていて、それ以降も伏線として続いていくというケースが随分ありますよね」

半田氏;
「そうですね。全50話だったと思うんですけれども、大げさに言えば50話で一つの話、みたいな感覚はありましたね。撮影は2話持ちでやるんですけれども、一応怪人は二話ごとに倒しては行くんですけれども、それで全てが解決したかというと、そうではないと。アクションシーンはあるんですけども、往年のシリーズに比べると、分量的には少ないかもしれないですね」

聞き手;
「昭和のライダーは必ずアクションシーンがあるんで、殺陣にしてもバイクにしても、技術を持って無いと務まらない仕事ですよね」

宮内氏;
「いや。技術の無い俳優さんも、あえて名前は言いませんが、ライダーをやってましたよ(笑)。まぁ技術を持ってる人間がやれば、より、らしく見えると。又、そういう風に努力をしていったということですね」

聞き手;
「時代の差なのかなと思うのは、宮内さんの風見志郎って、昭和の男の強さ、ヒーローであるっていうことを頑なに守るっていうか・・・」

A氏;
「ヒーローが大人っぽいですよね。設定年齢はそれほど変わらないと思うんですけど、当時のヒーローって、お兄さんというかおじさんのようにものすごく存在感がある、頼れる人なんですよ。

それに比べて半田さんの平成ライダーはもっと若くて、TVを観ている子供たちにより近い感じの存在で。隣のお兄さんでいてもおかしくないイメージを出そうということで、ぶっきらぼうだったり生活感があったりと、リアリティを出していこうという方向に向かったのかもしれないですね」

聞き手;
「宮内さんは、平成ライダーシリーズを確認というか、ご覧になられていたんですか?」

宮内氏;
「ええ、極力時間がある限りは見てましたね。いろんな作品5本くらいでしょうか、見てました。ただ続けて観てないとストーリーが分らなくなってしまうんですね。それで(視聴者を来週まで)引っ張るということもあるんでしょうけども・・・。

ただ僕が納得いかないのは、ライダー同士が戦うというのはどうも・・・。ましてや13人で戦い合うのは、今でもよく理解できません(苦笑)」

聞き手;
「宮内さんがヒーローにとってこれが大事だと考えていらっしゃる部分と今の平成シリーズとの間で、ギャップみたいな所があるんでしょうね」

宮内氏;
「そうですね。でも観ながら、彼らに拍手は送っておりますけれども」


★★★☆☆☆★★★☆☆☆
仮面ライダーは、進化するヒーロー。
過去に始まったヒーローについて同じものを引き継ぐのではなく、新しく変化しながら生まれ変わりながら、あらたに生まれてくるヒーロー、それが仮面ライダーだ。仮面ライダーというキャラクターは、人を引き付けて止まない、無限に発掘できる資源のようなものだ。仮面ライダーは、永遠に不滅である。


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